なぜエヴァは楽しまれなくなってしまったのかpart28 のまとめ全 561 件

1 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-12 10:35
・ここは、なぜエヴァは楽しまれなくなってしまったのか?
 または、なぜエヴァは楽しまれてるのか?について、その理由を述べたり、議論したり、追究したり、語ったりするスレです。
 思ったこと、思うことを書いてみましょう!

・雑談は基本OKだけど程々に。
 
・節度ある態度で楽しく!

・ここはアンチスレではないので、エヴァや他のアニメを叩きたい人は各アンチスレへ行きましょう。

前スレ&テンプレは>>2-18
2 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-12 10:35
【前スレ】
なぜ最近の大人はエヴァを楽しめなくなったのか?
http://maguro.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1395267076/
なぜ最近の大人はエヴァを楽しめなくなったのか?part2
http://maguro.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1398577388/
なぜ最近の大人はエヴァを楽しめなくなったのか?part3
http://maguro.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1399613247/
なぜ最近の大人はエヴァを楽しめなくなったのか?part4
http://maguro.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1400609307/
なぜエヴァを楽しめなくなった大人が増えたのかpart5
http://maguro.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1401542909/
なぜエヴァを楽しめなくなった大人が増えたのかpart6
http://maguro.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1402825092/
なぜ最近の大人はエヴァを楽しめなくなったのか?(実質7)
http://kanae.2ch.sc/test/read.cgi/pachik/1404746073/
なぜエヴァを楽しめなくなった大人が増えたのかpart7(実質8)
http://maguro.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1404807399/
なぜエヴァを楽しめなくなった大人が増えたのかpart9
http://maguro.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1407993162/
なぜエヴァを楽しめなくなった大人が増えたのかpart10
http://maguro.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1409049263/
なぜ最近の大人はエヴァを楽しめなくなったのかpart11
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1434414737/
なぜ最近の大人はエヴァを楽しめなくなったのかpart12
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1437825310/
なぜ最近の大人はエヴァを楽しめなくなったのかpart13
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1443203678/
なぜ最近の大人はエヴァを楽しめなくなったのかpart14
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1450181702/
3 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-12 10:36
なぜ最近の大人はエヴァを楽しめなくなったのか 15
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1451567410/
なぜエヴァは楽しまれなくなってしまったのかpart16
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1452698107/
なぜエヴァは楽しまれなくなってしまったのかpart17
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1454432015/
なぜエヴァは楽しまれなくなってしまったのかpart18
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1462085347/
なぜエヴァは楽しまれなくなってしまったのかpart19
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1463277556/
なぜエヴァは楽しまれなくなってしまったのか4035(実質part20)
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1464923877/
なぜエヴァは楽しまれなくなってしまったのかpart21
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1465379923/
なぜエヴァは楽しまれなくなってしまったのか4037
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1465903039/
【出張版】なぜエヴァは楽しまれ楽しまれなくなってしまったのかpart23
http://mint.2ch.sc/test/read.cgi/mog2/1466942722/
なぜエヴァは楽しまれなくなってしまったのかpart24
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1467450145/
なぜエヴァは楽しまれなくなってしまったのかpart25
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1479255801/
なぜエヴァは楽しまれなくなってしまったのかpart26
https://mao.5ch.net/test/read.cgi/eva/1492427439/
4 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-12 10:36
【前スレ】
なぜエヴァは成熟した大人にも楽しまれるのか part1
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1411790980/
なぜエヴァは成熟した大人にも楽しまれるのか part2
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1415365819/
なぜエヴァは成熟した大人にも楽しまれるのか part3
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1416489854/
なぜエヴァは成熟した大人にも楽しまれるのか part4
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1418299859/
なぜエヴァは成熟した大人にも楽しまれるのか part5
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1419138380/
なぜエヴァは成熟した大人にも楽しまれるのか part6
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1421760448/
なぜエヴァは成熟した大人にも楽しまれるのか part7
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1424692636/
なぜエヴァは成熟した大人にも楽しまれるのか part8
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1426075454/
なぜエヴァは成熟した大人にも楽しまれるのか part9
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1427931762/
なぜエヴァは成熟した大人にも楽しまれるのかpart10
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1430223140/
5 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-12 10:37
なぜエヴァは成熟した大人にも楽しまれるのか part11
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1432095479/
なぜエヴァは成熟した大人にも楽しまれるのかpart12
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1432508052/
なぜエヴァは成熟した大人にも楽しまれるのかpart13
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1439093564/
なぜエヴァは成熟した大人にも楽しまれるのかpart14
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1471082148/
なぜエヴァは成熟した大人にも楽しまれるのかpart15
http://mao.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1486907442/
なぜエヴァは成熟した大人にも楽しまれるのかpart16
https://mao.5ch.net/test/read.cgi/eva/1505724610/
6 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-12 10:39
ブギーポップは笑わない -Boogiepop Phantom-
7 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-12 10:42
その日 午後から日暮れにかけてかるい夕立ちが通り過ぎた
そして ぼくらは海の近くぬれたアスファルトを走った
つぶれた うすぐらい貸し倉庫のかげで
しばらく空を見上げて雨をしのいだ

ふいに 君がくちずさむ ぼくはきいてる
ききおぼえのないメロディー
もう 消えてしまうくらい
ちいさな声でやがて 途切れてしまう
8 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-12 10:47
SCENE 001
深陽学園
9 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-12 12:27
VOL 1
Portraits of Memory
10 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-12 12:28
記憶の肖像
11 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-12 16:29
SCENE 002
聖谷高校
12 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-12 16:56
女子A「出たんだって」
女子B「何が」
女子A「死神」
女子B「いつ?」
女子C「やめてよもうー」
女子A「ほら、一か月くらい前。何か変な光が走ったことあったっしょ」
女子D「ああ、うちのパソコン壊れたんだ、あん時」
女子C「うっそー、あの30万したやつ?」
女子A「それでさ、あのころ消えた子いるじゃん。3年生のオタクの人とか。それ全部あれに連れてかれちゃったんだって」
女子C「あれって?」
女子A「だから死神だって。何聞いてんだ、こいつ」
女子C「死神?」
女子A・女子D「ブギーポップ」

望都:
それは、私がまだ私を嫌いだった頃のことだ。
13 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-12 17:05
聖谷高校 1年2組
殿村望都
14 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-12 19:06
エヴァQが糞すぎて
エヴァ自体どうでも良くなった人が大量発生しちゃったからな
コンテンツにトドメ刺しちゃった

アンノ自身にもやる気ないだろ ネタ切れドン詰まりでヤマト出しちゃうくらいだし何も考えてないよ
15 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 16:30
望都「あ…」
男子A「対戦、対戦」
男子B「もう三連コンボとかやっちゃってさ」
男子A「マジ?そんなん出んの?」
望都「…」
康子「望都!どこ行ってたの。早く行くよ」
望都「あ…私、やっぱり…」
康子「はぁ、ったく。この子は。昨日オッケーって言ったじゃん」
望都「うん…でも」
女子E「いいんじゃない?」
女子F「でも。向こうも三人なんだよね」
康子「ちょっと待って。ねえ、望都。私たちあんたの事思って誘ってやってんだよ。
慣れれば大丈夫だって。男なんて」
望都「うん」
康子「よし、こいつ中学ん時からこうなの。私が引っ張ってやんないと何にもできないのよ」
女子E「いいけどね」
康子「じゃあ、校門で待ってるからね」
16 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 16:38
執拗に手を洗う望都。

望都:
それから私が遭遇した出来事は、多分何か別の、
もっと大きな事件が終わった後の、後始末のようなものだったのかもしれない。
世界全体から見れば、ほんの些細な欠片のひとつ。
でも全ての出来事は、全くそのように、極めて個人的なものでしかありえないだろう。

ティッシュでトイレの引き戸を握り、そのあとゴミ箱に捨てる望都。
17 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 16:43
望都:
だからせめて、私は私にとってのその出来事の意味を、
こうしてもう一度振り返りたいと思う。

望都「歪んだ虹だ…」
18 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 17:00
女子F「キー高すぎ」
男子C「次誰?」
男子D「何?誰も入れてないじゃん」
康子「うーん、じゃあねえ」
望都「…」
男子E「歌わないの?」
望都「え」
男子E「歌」
望都「…」
康子「ごめんね、この子こういうところ慣れてないのよ」
男子C「そういや鈴木さ」
康子「ん?」
男子C「お前早乙女が失踪したって知ってる?」
康子「え!」
女子E「誰それ」
男子C「俺らの中学ん時のクラスメイト。高校は深陽に行ったんだけど、ひと月前からいないんだって」
康子「へえ、そうなんだ」
望都「…」
男子D「康子は仲よかったの?そいつと」
康子「えー別に」
男子D「ほんと?」
康子「ちょっとやめてよ」
男子E「なんか陰気なやつでさ。俺嫌いだったな。あいつ。殿村は知ってったっけ?あいつ」
望都「あ、うん」
女子E「うちの学校にもいるよ、そういう子」
男子C「それがさ、早乙女の幽霊見たってやつがいて。結構噂になってるらしいんだよ」
望都「(きっと殺されたんだ…ブギーポップに)」
19 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 17:09
男子D「ブギー…何?」
女子F「ああ、別に何でもないって。ただの噂。ほら、都市伝説とかいうの。あ、ほら。望都」

嫌々マイクを握る望都。
20 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 17:18
執拗に手を洗う望都。

康子「望都。分かってるだろうけど、私が早乙女君と付き合ってたこと、さとしには内緒だよ。あいつすぐ嫉妬するから」
望都「分かってる」
康子「なら、いい。ねえ、望都。私達、友達だよね?」
望都「え?」
康子「この頃分かんなくなるんだ。望都にとって、私って、その」
望都「友達だよ。当たり前じゃない」
康子「だよね。何言ってんだろう、私」
望都「…」
21 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 17:20
望都:
早乙女君は、中学の時の康子の彼氏だった。
22 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 17:21
SCENE 003
中学時代 夏
23 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 17:29
望都:
その頃の康子は私と同じで、どちらかというと目立たない女の子だった。

早乙女正美と握手をする望都。
24 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 17:30
望都:
それが、男の子と付き合い始めたのが自信となったのか、彼女はどんどん明るくなっていき、
逆に私は、一層男の人が苦手になった。
そして、初体験を済ませた彼女は、ますます派手になり、とうとう他に男をつくって、彼とは別れた。
でも…。
25 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 17:34
正美「やあ、君か」
望都「…あ」

早乙女の側でウサギが死んでいる。

正美「野良猫にやられたらしい」
26 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 17:43
正美「彼女、何か言ってた?」
望都「うん。私が悪いのって」
正美「悪いのは、僕のほうなのにね」
望都「え?」
正美「こいつら、何で生きてんのかな。どうせ死ぬのに」
望都「そう、だね」

ウサギ達を見つめる望都。

望都:
その時、私は思った。
彼は本当は康子のことなど愛してなかったことに。
そして、実は私が、いつの間にか彼に、どうしようもなく惹かれていたことに。
27 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 17:45
SCENE 004
現在
28 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 17:52
望都:
その後、私達は別の高校に進学し、それから早乙女君とは会っていない。
私の密かな恋心も、とうに淡い思い出として朽ち果てていたはずだった。

皆が歩いていく中、一人うずくまる望都。
泡のようなものが集まり、早乙女が出現する。

望都「あ…いやああああああ!!!!!」
29 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 18:06
目覚まし時計が鳴り起きる望都。

望都「うーん」
父親「望都、起きたか?」
望都「勝手に開けないでって言ってるでしょう」
父親「すまん」
望都「もう」
30 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 18:07
父親が触ったドアノブ、自分の手をウェットティッシュで執拗に拭く望都。
31 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 18:09
望都:
どうして、みんな生きてるんだろう。
どうせ、死ぬのに。
32 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 18:11
何か幻影を見て手をかざしている少女。
33 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 18:23
康子「望都、大丈夫?」
望都「うん」
康子「昨日はびっくりしたぞ。いきなり悲鳴あげて逃げ出すだもん。何見たの?」
望都「ううん、何も」
康子「あのさ」
望都「何?」
康子「私さ、早乙女君の噂、深陽学園の子に一度だけ聞いたことがあるんだ。
彼、2年の先輩に告白して振られたんだって。それも、学校でも有名な不良の女に。
深陽の霧間凪って聞いたことない?
だからさ、彼が失踪したの一瞬引きずって私のこと引きずってたのかと思ったけど、違うよね」
望都「そうだね。違うね」
康子「じゃあ」
34 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 18:33
望都「失礼します」
久志「先生なら、今いないよ」
望都「そうですか。あ…あの」
久志「動くな。悪い。あんたの心臓に虫が張り付いてるんでね。ま、触れられたくないなら仕方ないけど。
あんた、そのままじゃ虫に心を全部食われちまうぜ。
そいつは心のしこりだ。最近見えるようになったんでね、そういうのが。
あんた、何か心残りがあるんだろう?それもずっと前からの。
俺は3年の城之内。俺に胸をまさぐられてもいいと思ったらいつでも来な。
そのまま虫に食い殺されるよりマシだろう?ふふふ」

望都:
そうだ。私はずっと…。
行かなきゃ。
35 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 18:37
SCENE 005
深陽学園
36 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 18:38
望都;
ここに来たってどうなるものじゃない。
そんなことは分かっていた。
ただ、早乙女君がいた場所を感じたかった。
37 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 18:50
藤花「いいの?」
望都「あ…」
藤花「何か用があるように見えたから。聖谷の人ね。私案内しましょうか?」
望都「あ、いいんです」
藤花「そう?遠慮しなくていいよ」
友達A「またおせっかい?」
望都「あの、霧間凪さんって」
藤花「え!あの人に呼び出されたの!?一体何したの?」
望都「いえ、そんなんじゃ」
藤花「私一緒に行ってあげる。怖いけど、でも大丈夫。話せば分かると思う」
友達A「霧間凪ならもういないよ。5限目からふけたってD組の子が言ってたもん」
藤花「だって。どうしよっか」
望都「あ、それならいいんです」
友達A「藤花、先帰っちゃうぞ」
藤花「あ、待って!ほんとにいい?それじゃあね、さようなら」
望都「…」
38 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 18:53
望都:
行く先を失った私の足は、それでも彼の痕跡を求めて、
自然と、昨日の場所へと向かっていた。
39 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 19:00
白い浮遊体を見つけた望都は必死にそれを追いかける。
早乙女の声が聞こえる。

正美「さあ、こちらへおいで」
40 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 19:02
再び泡のようなものが早乙女へと姿を変える。

望都「やっと会えた。早乙女君」
41 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 19:04
人ごみをかき分けて藤花がどこかへと向かう。
42 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 19:14
望都「早乙女君。私、私ね。ずっと、ずっと言いたくて言えなかった。
多分康子に遠慮してたんだと思う。
でも、言えなかったことがずっと心にしこりになってて。だから…。
私、あなたのこと好きです!ずっとずっと好きでした!」
正美「お前は、誰だ」
望都「え!」
正美「お前は早乙女正美の知り合いだったのか?」
望都「覚えてくれてないの?」
正美「まあ、そんなことはどうでもいいがな」
望都「そうね…どうでも、いいね…」
正美「久々の餌だ。私はお前を喰らう」
望都「え…」
43 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 19:21
望都「私を殺すの?」
正美「ああ。結果的にお前は死ぬ」
望都「いいよ、もう。殺されても…いい」
ブギーポップ「それは早乙女君じゃないよ」
望都「きゃあああああ!!」

ブギーポップに額を貫かれ断末魔をあげ消える早乙女。
44 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 19:28
望都「ああ…」
ブギーポップ「あれは、早乙女君の形をしているが、彼ではない。人喰いが彼の姿を借りているだけだ」
望都「ひ、人喰い?」
ブギーポップ「実体を失って、既に人畜無害になっているが、たまに君のように自分から命を差し出す者がいて困る。
あれに喰われても、早乙女君に殺されたことにはならない。
早乙女君のことは忘れたまえ。彼は、僕が殺した」
望都「え…」

嗚咽が止まらない望都。
45 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 19:36
執拗に手を洗う望都。

望都:
私が見たのが、ブギーポップだったのかどうかは分からない。
それとも、全部幻だったのかもしれない。
あの事があって、何が変わった訳じゃない。
今もやっぱり、私は私のことが好きじゃない。

康子「望都、今日どうする?よし、じゃあ校門で待ってる」
46 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-14 19:38
望都:
それでも私は、何とかまだこうして生きているらしい。
…多分。
47 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 17:54
久志「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ…」
ブギーポップ・ファントム「…」
久志「うわあ!はあ、はあ、はあ…」
48 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 17:58
VOL 2
Light in Darkness
49 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 17:59
闇の灯
50 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 18:02
SCENE 001
旧市街再開発地区
51 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 18:03
久志「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ…うぅ…何でこうなっちまったんだ」
52 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 18:07
聖谷高校 3年1組
城之内 久志
53 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 18:09
SCENE 002
小学校時代
54 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 18:19
久志(小学生)「うわ!」

久志:
そうだ。俺は子供のころ、ヒーローになりたかったんだ。

久志(小学生)「どうだ!もう場所を横取りしないな!」
6年生たち「分かったよ」
6年生たち「ちくしょう、覚えてろよ!」
友人「すげえや!6年生泣かしちゃったよ」
55 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 18:22
久志「ふふふ、ふふふ。くそ。ん?」

ふと虫を見つける久志。

久志「はは、ふははは、ふははははは」

そして無心で虫を喰らいつく。
56 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 18:29
母親「おめでとう、久志」
父親「よく頑張ったな」
母親「一人だけ別の中学行くの寂しいんじゃない?」
父親「ははは、久志は大丈夫だよな?」
久志「うん」
母親「さ、食べましょう」
久志「いただきます。…いたっ…う…」
父親「久志!」
母親「久志どうしたの!」
57 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 18:32
SCENE 003
県立総合病院
58 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 18:35
母親「骨肉腫ですか?」
先生「幸い発見が早かったので、手術のあと、化学療法のため、2、3年は通院していただくこととなります」
母親「…そうですか」
先生「…」
59 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 18:36
SCENE 004
中学時代 春
60 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 18:38
中学生達「何あいつ」
中学生達「病院通いだってさ」
中学生達「ふーん」
61 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 19:00
凪「なあ、どう思う?探偵さん」
慎平「さてね。なりたいものになれる人なんて、そういるもんじゃないんじゃないかな」
凪「だからって、何になりたいか、自分がどういう生き方をしたいのか考えるのは、無意味じゃないだろ」
慎平「それじゃあ、名探偵霧間凪君は何になりたいのかな」
凪「それがピンが来ないから聞いてんだろ。探偵さんは今の仕事以外に、何かやりたいことはないの?」
慎平「そうだな、正義の味方かな」
凪「ぷ、何だよそれ」
慎平「笑うなよ」
凪「ふふふ」
慎平「実際の探偵ってのは、小説なんかと違って結構汚いこともするし、つまらないことに縛られたりするもんだ。
でもそういうの一切なしで事件を解決するだけの正義の味方」
久志「…」
慎平「そういうならなりたいな」
凪「なればいいじゃん。なれるよ、きっと」
慎平「簡単に言うなあ」
凪「ふふふ、ひひ」
先生「霧間さん、そろそろ病室に戻りなさい」
凪「いっけね。来生先生だ。それじゃあね、探偵さん」
久志「…」
62 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 19:03
SCENE 005
中学時代 秋
63 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 19:15
先生「順調に良くなってるわよ。もう少しの辛抱ね」
久志「今更治っても、遅いよ」
先生「え?」
久志「今からどんなスポーツやったって、一流になるには遅すぎるだろ?もうヒーローにはなれない」
先生「城之内君、ねえ、人間の能力って肉体的なものだけじゃないんだよ」
久志「分かってるよ。しっかり勉強して人の役に立つような人間になれって言うんだろ?母さんと同じこと言うんだな」
先生「ふふ、君は弱いなあ。お母さんはあんなに強いのに」
久志「どうせ俺は」
先生「ま、臆病者のほうが長生き出来るってことはあるけどね」
久志「え」
先生「死神はね、人が恐怖にとらわれた時にやってくるのよ。それも強い人間が恐怖に震えるさまがとびきりのご馳走なの。
弱い人間の恐怖は、あまり美味しくないのね」
久志「…」
先生「そうね、もし君が望むんなら、とっておきの薬があるんだけど。君に効くかどうかは分からないけどね」
64 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 19:22
久志:
しかし、あの女医のとっておきも俺には効かなかった。
ひどい熱が出て一週間寝込んだだけで、その後5年間、俺には何の変化も無かった。
そう、ほんの一か月前までは。
65 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 19:34
光の柱を見る久志。
そして、光の球が久志を貫く。

久志「あ!」

久志:
しばらくして、一週間高熱が続いた。
熱が下がったその日から、驚くべきことが起こった。
66 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 19:39
父親「久志、大丈夫か?」
久志「ああ、もういいみたい」
父親「心配したぞ。一週間も熱が続いたんだからな」
久志「あ!」
父親「どうした」
久志「父さん、虫が」
父親「ん?熱は下がったみたいだな。お父さん仕事行かなきゃならないが久志どうする?もう一日休むか?」
久志「い、いや、今日は行くよ」
父親「そうか」
久志「…」
67 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 19:40
街の至るところで人の体の中に虫がいるのが見えるようになる久志。
68 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 19:43
SCENE 006
聖谷高校
69 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 19:50
担任「大木」
女子A「はい」
担任「田村」
女子B「はい」
担任「笹岡」
陽子「はい」
担任「98点。今回トップだ」
女子A「陽子やったね」

笹岡陽子の中に虫を見つける久志。

担任「野村」
男子A「はーい」
担任「佐藤」
男子B「はい」
担任「辻」
女子C「あ、はい」
70 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 19:57
陽子「何?話って」
久志「テストのことなんだけど」
陽子「え」
久志「カンニングでもしたのかな」
陽子「あ…うう」

笹岡陽子の中から虫を取り出す久志。

陽子「あ…あ…いや…」
久志「もう行っていいよ」
陽子「あ…。そう。城之内君。なんか分かんないけど、ありがとう」

その虫に喰らいつく久志。

久志:
そいつは、とても甘美な味がした。
71 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 20:00
久志:
後ろめたさ、後悔、心残り、虫はそういった心のしこりのあらわれだ。
俺は何人もの人間から虫を取ってやった。
72 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 20:02
保健の先生「ごめんね、殺すしかなかったの。殺すしか…」

取り出した虫に喰らいつく久志。
73 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 20:04
保健の先生「ちょっとここ、お願いね」
望都「失礼します」
久志「先生なら、今いないよ」
望都「そうですか。あ…あの」
久志「動くな。悪い。あんたの心臓に虫が張り付いてるんでね。ま、触れられたくないなら仕方ないけど。
あんた、そのままじゃ虫に心を全部食われちまうぜ。
そいつは心のしこりだ。最近見えるようになったんでね、そういうのが。
あんた、何か心残りがあるんだろう?それもずっと前からの。
俺は3年の城之内。俺に胸をまさぐられてもいいと思ったらいつでも来な。
そのまま虫に食い殺されるよりマシだろう?ふふふ」
74 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 20:11
久志:
そう、俺は皆を助けてやってるんだ。
俺は、彼女達の救世主なんだ。
75 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 20:13
久志「父さん、もう大丈夫だよ」
父親「あ…。そうか。そろそろ食事にするか」

父親から取り出した虫に喰らいつく久志。
76 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 20:18
久志「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ」
警官「ああ、こらこら」
父親「久志」
久志「あ…あ…母さん!」

久志:
母さんは、俺を病院に迎えに来る途中、当時街を騒がせていた殺人鬼に殺された。
親父は、一人で行かせたことをずっと悔やんでいたのだ。
77 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 20:21
父親「なあ、久志。これ、誰だ」
久志「え」

久志:
俺が、喰っていたのは連中の記憶だったんだ。

久志「嫌な思い出なんて、消えたほうがマシだろう!」
78 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 20:22
警官「おい、そこで何してる」
久志「いえ、別に」
警官「…」
79 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 20:27
久志「ああ…ああ…虫が喰いたい…」
少女「う、あ、はは」
久志「虫!」

彼女の放った蝶は久志を包み、どこかの殺人現場のようなところに飛ばされる。

久志「うわ!う…な、何なんだよこれ!」

そしてまた街に戻される久志。

少女「はは。あ。う。はは」
久志「何なんだよ!」
80 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 20:30
久志「おい、あんた!」
女性A「え」
久志「いや、何でもない」

警官がいることに気づきやめる久志。
81 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 20:36
久志「虫…虫が喰いたい…」

また別の女性から虫を取り出し食らいつく久志。

久志「!」
ブギーポップ・ファントム「…」
久志「何だ!俺をどうしようってんだ!うわあ!」
ブギーポップ・ファントム「…」
久志「ああ!はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ」

久志:
黒い影はどこまでも追ってきた。
あいつは、死神だ。
82 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 20:45
久志「何でだ。俺なんか、喰ってもまずいだろ。俺みたいな臆病者を喰っても」
凪「誰かいるの?」
久志「え?」
凪「!」
ブギーポップ・ファントム「霧間凪か?」
久志「え?」
凪「ブギー…いや、違う。お前はマンティコア?」
ブギーポップ・ファントム「いいや、僕はブギーポップだよ」
凪「そこのあんた、逃げろ!」
久志「ひい!」
83 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 20:53
久志「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ…ああ!」
(慎平「名探偵霧間凪君は何になりたいのかな。正義の味方、そういうんならなりたいな)」
(凪「なればいいじゃん。なれるよ、きっと」)
久志「はは、ははは…」
ブギーポップ・ファントム「待たせたな。彼女を巻くのに手こずったんでね」
久志「俺を殺すのか?」
ブギーポップ・ファントム「僕は殺す訳じゃない」

ブギーポップ・ファントムは指を指す。
そこを見ると、久志自身に沢山虫が付いてるのに気づいた。

久志「はは、ははは、はは…」
ブギーポップ・ファントム「僕は君を連れに来たんだよ」
84 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 20:57
久志が明るい光に包まれる。
小学校時代の皆がそこにはいた。

友達?「遅いよ」
友達?「早くおいでよ」

久志「はは、はは…みんな…ははは」
85 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-18 20:59
女子D「ねえ、知ってる?1組の城之内って子、いなくなったんだって」
女子E「へえ、久しぶりだね」
女子D「何が?」
女子E「人、消えるの」
86 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 14:47
『本当の終息。いまだ産まれえぬ者の特権である。
一声産声をあげた者は、その無数の波及の中で、永遠に安らぐことが…』
87 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 15:09
和子「あなたのお父さん、霧間誠一氏の言葉」
凪「で?」

SCENE 001
深陽学園

和子「そろそろ教えてくれてもいいんじゃないかなって。5年前の事件の事」
凪「その事なら、前にも話したろ?あれは」
和子「あれはブギーポップがやった。まだそんな都市伝説でごまかすつもり?
私は、5年前のあの事件の波及から逃げることは出来ない。
あなたもそうじゃないの?霧間さん。あなたがあの事件の…」
凪「親父の本なんて、読むもんじゃないよ。末真さん」
和子「1ヶ月前、F組の百合原美奈子さんと、1年生の早乙女正美君。一緒にいなくなった事件があったけど、
あれもあなたが関係してるんじゃないの?」
凪「…」
和子「え?変な虹。この頃よく見かけるけど」
凪「虹じゃないだろ、あれ」
和子「え?」
88 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 15:18
VOL 3
Life Can Be So Nice
89 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 15:20
世界を受け入れし者
90 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 15:31
SCENE 002
聖谷高校

女子A「やっぱりさー、いるんだよ」
女子B「何が?」
女子A「死神」
女子B「ブギーポップ?」
女子C「マジで?」
女子A「だってさ、1組の男子も消えたって言うじゃん」
女子B「あーあーあー、城之内?何か、捜索願とか出てるらしいよー」
女子A「お父さんと二人暮らしだったんだって。何だかだよねー」
女子C「どう思う?パヌルー」
美鈴「え?」
女子B「ブギーポップ。いるかな?」
美鈴「どうだろね」

美鈴:
ブギーポップ。多分、いるんだろう。
でも、だからと言って、この世界が変わることはない。
91 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 15:37
聖谷高校 3年5組
有藤 美鈴
92 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 15:54
女子A「カラオケとか行きたくない?」
女子C「あ、行きたい行きたい!」
女子B「めちゃめちゃ歌いたい」
男子A「おい、矢部!ゲーセン寄ってこうぜ」
徹「あ、わりい。今日駄目だわ。じゃあな!」
男子A「いいじゃん。付き合えよ」
徹「あ!」
美鈴「あ!」
徹「わりいわりい。俺急いでっから」
女子A「全くもう」
女子B「危ないわねー」
女子C「ねー。明日しばいてやろう。ん?目うるうるしてっぞ。パヌルー」
美鈴「え?」
女子A「あー、引っかかってるよ!」
女子B「何ー?パヌルー。マジー?」
美鈴「やだ、違うよ。違うってば」
陽子「美鈴」
美鈴「え?陽子」
陽子「一緒に、帰ろ」
93 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 16:07
美鈴「いいよなあ、陽子は。模試またトップだもんな」
陽子「城之内君さ」
美鈴「え?」
陽子「城之内君さ、まだ、見つかんないんだよね」
美鈴「あ、ああ。そうだったね。心配だね」
陽子「私さ、何だか苦しいんだよね。城之内君がいなくなってから。ずっと」
美鈴「陽子、そうだったんだ」
陽子「え?あ、違うの。そういうんじゃないの」
美鈴「へっへー」
陽子「そうじゃなくて。私、何だか城之内君に、何か大事なことを…」
美鈴「大丈夫だよ。陽子」
陽子「美鈴」
美鈴「おー、空が高いなー。もう冬だね」
陽子「ふふ、ふふふふ。美鈴って、変」
美鈴「何よ」
陽子「だって、何でも包み込んじゃうんだもん。
美鈴と話してると、何だか自分の悩みとかがバカみたいに思えてくる。人格者だよ、美鈴は。
でもさ、美鈴」
美鈴「え」
陽子「何でパヌルーって呼ばれてるの?」
94 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 16:09
美鈴「別に、人格者なんかじゃないよ。私はただ」
恵「ただ、この世界を愛しているだけ」
美鈴「パヌルー」
95 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 16:20
美鈴:
そう、私はこの世界を愛している。
愛し、肯定し、受け入れている。
そして、このことを教えてくれたのが、彼女だった。

恵「世界を、受け入れること」
美鈴「喪失も混沌も、あるがままに」
96 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 16:30
男が繁華街で暴れている。
そこを通りかかる恵と美鈴。

山本巡査「森田さん。そっち押さえてください!」
森田巡査「おい、おとなしくするんだ!」
山本巡査「いいからおとなしくしろ!」
97 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 16:45
恵「世界はここにあるもの。どんなことでも起こり得るし」
美鈴「そして。…!」

ラブホテルに入っていく美鈴と男。

美鈴「そして、起こったことが全て」
恵「その苦しみゆえに世界を愛し、肯定しなければならない」

美鈴:
私は、感情を乱されるということがなかった。
この世界を、あるがままに受け入れているから。
98 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 16:47
恵「嘘つき」
美鈴「え」

そこには血だらけの恵が立っていた。

恵「嘘つき!」
美鈴「…パヌルー」
99 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 16:50
美鈴「これ、ください」
店員「いらっしゃいませ」
美鈴「あ、一枚はプレゼント用で」
店員「かしこまりました」
100 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 16:56
電車の中で音楽を聴いている美鈴。
突然急停車する。

『ただいま車内におきまして、故障が発生いたしました。
原因究明のためしばらく停車いたします。お客さまにはお急ぎのところ大変ご迷惑をおかけいたしますことを…』

駅員「何だこりゃ」
101 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 17:09
正美(マンティコア)「誰だ?」
美鈴「え」
正美(マンティコア)「私を呼んだのは誰だ」
美鈴「…!」

マンティコアがイヤホンの中に入り込む。

マンティコア『お前か。お前が私を呼んだのか。何故だ?何故そんなことが。
お前は何だ?早乙女正美と同じか?いや、それとも。
そうだ、お前の脳は。脳の中にはお前の記憶が。そこに仕組みが。
なるほどそうか。そうか。そうか。そうか』
美鈴「いや!」
乗客たち「なんだ」「どうしたの」
102 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 17:11
SCENE 003
北口公園
103 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 17:20
美鈴「God is Deadの新譜だよ。パヌルー」
正美「なるほど。そいつがパヌルーか」
美鈴「あなたは?」
正美「お前はすでに私を受け入れている。
どんなことでも起こり得るこの世界を、お前は愛しているのだから」
美鈴「どうしてそれを?」
正美「人間とは不思議なものだ。たわいのない思想が、特殊な能力に結びつくとは。
広めたいか?世界愛を。パヌルーの世界愛を」

うなずく美鈴。

美鈴:
彼が何者かなんて、どうでも良かった。
彼は私以外ではじめて、パヌルーを理解してくれた人だった。
104 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 17:38
陽子「美鈴、私駄目なんだ。あれから、もっと駄目なんだ。私思い出したの。城之内君に。私、城之内君に」
美鈴「陽子に、会わせたい人がいるんだ」
陽子「え。あ…誰?」

そこには早乙女正美が立っている。

美鈴「この人、陽子の味方よ。ほらこないだ陽子、
私の事何でも包み込んじゃうって言ってたでしょ。陽子も、そんな風になれるよ」
陽子「ほんと?私を楽にしてくれるの?城之内君みたいに」

口づけを交わす正美と陽子。

美鈴:
彼には彼のやり方があった。
パヌルーの世界愛を広めるためのやり方が。

教師「笹岡?」

美鈴:
約束された幸福を享受することなく、陽子は逝ってしまった。
でも、これも世界、だよね?パヌルー。
105 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 17:49
凪「こんなとこで何してるの?」
美鈴「あなたは?」
凪「ここで何をしていた?」
美鈴「いけないんですか?ここにいたら」
凪「こんな薄気味悪い所に、よく一人でいられるなと思ってね。あんた、聖谷の生徒だね?
つい最近、あんたの学校で失踪した生徒がいると思うんだけど」
美鈴「失踪した…城之内君のことですか?」
凪「そいつについて、何か知っていることはないか?どんなことでもいい」
美鈴「失礼します。きっと城之内君は、世界を愛せなかったんだと思います」
凪「世界を?」
美鈴「ここへは、もう来ないでください。ここ、私の大切な場所ですから」
凪「大切な場所…か。ここがね」
106 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 18:01
イヤホンに正美の指令が入る。

正美『霧間凪』
美鈴「え?」
正美『あの女』
美鈴「霧間凪」
正美『あいつにも、世界愛を教える必要がありそうだ』
美鈴「戻る?」
正美『呼び出す』
美鈴「来てくれるかな?」
正美『きっと来る。電話してこう言うんだ』

凪「もしもし?え、なんて?どうして?なんだって?」
美鈴『だから、早乙女君よ。早乙女正美君。彼があなたに話があるんですって』
凪「早乙女正美?」
(正美「もはやあなたは僕らの敵だ」)
凪「…!」
美鈴『もしもし?霧間さん』
凪「そいつに近づいちゃ駄目だ!」
美鈴『どうして?』
凪「何でもいい!とにかく」
美鈴『私達は、あなたに世界愛を教える義務があるの。じゃ、必ず来てくださいね』
凪「もしもし?もしもし?くそ!」
107 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 18:17
美鈴「来るかなあ?霧間さん」
正美「来る。早乙女正美の名前が、あいつには絶好の囮になる」
美鈴「囮…か。何だか、悪いことしてるみたいで嫌だな」
ブギーポップ・ファントム「そう、そして囮は君自身だ」
美鈴「え?誰?」
ブギーポップ・ファントム「君達の間では、死神の名で呼ばれている」
美鈴「ねえ、早乙女君。この人…早乙女君?」
ブギーポップ・ファントム「彼は早乙女正美じゃない。本物の早乙女正美は、もう死んでいる」
美鈴「あなたが、早乙女君を?」
ブギーポップ・ファントム「君は、奴の実体化の場を与えていた。世界の敵に加担していたのだ」
美鈴「あのねえ、死神さん。私達は世界の敵なんかじゃない。その逆よ。私達は…」
ブギーポップ・ファントム「君は、本当のパヌルーじゃない」
美鈴「え!」
ブギーポップ・ファントム「君の世界愛とパヌルーの世界愛は似ても似つかない。
本物のパヌルーと入れ替わった時、君の運命は既に決まっていたのだ」
美鈴「そ、そんなことない。私はパヌルーの世界愛を受け継いだわ。そして、そして…」
恵「嘘つき」
美鈴「え」
恵「嘘つきー!」
美鈴「嘘じゃない…信じてパヌルー。私、私は…」
108 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 18:22
SCENE 004
中学時代
109 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 18:32
恵「美鈴、そんなことで泣いちゃ駄目だよ」
美鈴「だって、じゃあどうして私達産まれてきたの?どうして生きてなきゃいけないの?」
恵「どうしてだと思う?」
美鈴「だから、それが分からないから」
恵「理由なんてない。とにかく私達産まれてきて、そして生きている。ただそれだけだよ。世界はただそこにあるもの。
どんなに苦しくても、これが私達の世界なの。その苦しみゆえに世界を愛し、肯定しなければならない。パヌルーって人の言葉よ」
美鈴「パヌルー?誰それ」
恵「秘密」
110 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 18:39
美鈴「ねえ、パヌルー」
恵「やめてよそれ」
美鈴「いいじゃん。尊敬してんだからさ。私、パヌルーの話もっと聞きたい」
恵「ほんと?」
美鈴「うん。この世界や、愛や、肯定することについて、もっともっと」
恵「明日、またデートする」
美鈴「うん!」
恵「放課後、そこ北口公園。待ってる」
美鈴「うん。じゃあね」
111 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 18:42
美鈴「ひっ、い、いやあああー!」

(恵「これが世界。どんなに苦しくても、これが私達の世界なの」)

美鈴「分かった、パヌルー」
112 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 18:58
ブギーポップ・ファントム「彼女は、あの時連続猟奇殺人事件の犠牲になった。そして君は…」
美鈴「私は、パヌルーの意思を継いだ。世界をあるがままに受け入れたのよ」
ブギーポップ・ファントム「君が受け入れたのは世界じゃない。彼女の死だ。
君はパヌルーから何も受け継がなかった。ただこの世界から自分を守るために、世界を愛してる振りをした。
その愛が、奴に格好の場を与えていた。君の中途半端な進化が、奴を実体化させていたのだ」
美鈴「進化?…いや!いやああああああ!!!!!」
ブギーポップ・ファントム「虹は消えたかい?」
美鈴「いや。ああ…仕方なかった…そうしなくちゃ生きていけなかった。他にどうすれば良かったの?
この無茶苦茶な世界で、どうやって生きていけば良かったの?
連れてって。城之内君みたいに、私を連れてって」
ブギーポップ・ファントム「君は連れていけない」
美鈴「え」
ブギーポップ・ファントム「悪いが、君は連れていく価値さえない」
美鈴「ブギーポップ」
113 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 19:12
美鈴「助けて…誰か助けて…この世界から、私を救い出して…」
恵「嘘つき。嘘つき。嘘つき。嘘つき。嘘つき!嘘つき!」
美鈴「やめてー!」

美鈴のプレイヤーが落ちる。

美鈴「助けて…助けて…助けて…誰かねえ、助けて…誰か助けて。お巡りさん!助けて!助けてください。お願い!」
森田巡査「こいつは驚いたな。へっ」
美鈴「!」
114 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 19:16
森田巡査に喰い殺される美鈴。

(美鈴「世界はここにあるもの。どんなことも起こり得るし、そして起こったことが全て」)

駆け付けた凪がプレイヤーを拾い壁に投げつける。
115 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-22 19:17
プレイヤーからまた電流が走る飛んでいく。

美鈴「嘘つき」
116 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 16:33
SCENE 001
聖谷高校
117 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 16:45
女子A「知ってる?シナモンって、不安を解消してくれるんだって。度胸もつくんだって。アロマテラピーの本に書いてた」
女子B「ほんと?ならこれで、無理めの男逆ナンしようかな」
女子A「駄目よ。やっとこれだけ分けてもらったのよ。これだけ、分けてもらったんだから。あ、何すんの!」
妙美「やっぱりこれか。シナモンじゃないって」
118 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 16:47
聖谷高校 3年2組
上原 妙美
119 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 16:48
聖谷高校 3年2組
上原 妙美
120 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 16:52
女子A「あ、違うの?」
妙美「タイプSとか言ってたかな。手に入り辛いみたいよ、かなり」
女子B「どこで売ってんの?」
妙美「さあ、駅前で配ってる人がいるらしいけど」
洋次「…」
121 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 16:53
女子B「あ、違うの?」
妙美「タイプSとか言ってたかな。手に入り辛いみたいよ、かなり」
女子B「どこで売ってんの?」
妙美「さあ、駅前で配ってる人がいるらしいけど」
洋次「…」
女子A「へえ、そうなんだ」
女子B「行ったら分かるのかな、それって」
122 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 16:55
聖谷高校 3年2組
菅沼 洋次
123 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 17:02
女子A「あれ、確か彼、駅前でバイトしてなかった?ねえ、知ってる?」
妙美「あいつは知らないって。そんな流行りもんなんか」
女子B「そうね。根暗だし」
女子A「ねえ、これ可愛くない?」
女子B「ああ、可愛かったね」

洋次:
俺は忙しいんだ。忙しいんだ。デートなんだ。デートなんだ。ざまあみろ。俺はデートなんだ。
デートなんだ。

妙美・女子A・B「あははははははは」
124 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 17:06
VOL 4
MY FAIR LADY
125 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 17:06
けがれなき少女への愛
126 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 17:21
店主「いらっしゃいませー」
正美「どうだ?テストは」
美奈子「楽勝よ。遊びみたいなものだわ」
正美「君は頭がいいんだね。普通の人間より」
店主「いいねえ、若いもんは。俺も、あの頃に戻りたいよ」
洋次「あがっていいでしょうか?」
店主「デート?な訳ねえか。はははは」
127 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 17:24
洋次:
俺は忙しい。デートなんだ。そう。彼女がいるんだ、そう。

洋次「チッ」
128 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 17:27
妙美「ああ、安くしてくんない?どうせ、ただのアロマテラピーなんでしょ」
正美「こいつのおかげで、君もずいぶん大胆になったな。もっと売るんだ。今の自分に満足していない奴に」
129 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 17:29
SCENE 002
菅沼家
130 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 17:37
洋次の父「洋次、模擬テストどうだった」
洋次「…」
洋次の父「分かっているだろうが、とにかく国立だぞ。もう一流は望まんが。腐っても国立だ!」
131 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 17:41
洋次の父「俺の子供なのに何故馬鹿なんだ」
洋次(小学生)「パパ…?」
洋次の父「とんだ失敗作だ」
洋次(小学生)「…」
132 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 17:46
洋次の父「偏差値が低いなら、学費も低い大学にしろ!これでお前も親孝行が出来る!いいな!」

音楽をかけ父親の怒声をかき消す洋次。

洋次「お前なんか知らない。誰だよお前。ざまあみろ。ふっ」
133 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 17:50
パソコンで美少女ゲームを始める洋次。

洋次「遅かったね」

ちさと
ごめんね、待った?
でも、ワタシ走ってきたんだよ
134 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 17:58
ゲーム内のキャラ"ちさと”の服を替える洋次。

洋次「うん、すごく似合う」

ちさとがソフトクリームを食べている
?ハンカチで拭いてあげる
?ペロッとなめてあげる
?なめるフリしてキスしてしまう

?を選ぶ洋次。

ちさと
アッ

洋次はパソコン画面を舐め続けた。
135 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 18:06
洋次「しゅ、週に働けるの、3日だけ?」
理恵「やはり、駄目ですか?」
洋次「例えば、月、水、金なら?」
理恵「考えておきます。失礼します」
洋次「あ、君。ねえ、君…」
136 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 18:16
洋次「君、働けば?俺が何とかしてやるよ。俺、古株だからね。安心しな。いや、強引だ。それは強引だ。
俺は強引じゃないから言わなかっただけだ。普通そうさ」
妙美「彼女?菅沼、そんなしけた顔して。誰も逆ナンしてくんないって」
洋次「な、何だ。お前」
妙美「ちょいと踊り過ぎただけさ。変われるよ、これで」

タイプSを見せる妙美。

妙美「大胆にね」
137 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 18:19
パソコンで美少女ゲームをしている洋次。

洋次「小柄でスリム。抱きしめたら肋骨がきしむくらいに。君のような子、実際にいるんだね」

"ちさと"から"理恵"に名前を変える。

洋次「君は完璧さ、理恵。理恵」
138 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 18:31
キャンドルにそっとタイプSを垂らす洋次。

洋次「へへ…」

理恵の制服姿を想像する洋次。

(理恵「似合う?」)

洋次:
タイプS、俺に勇気をくれ。
139 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 18:32
『発信音の後に、メッセージをどうぞ』
洋次「バイトの菅沼です。やっぱり週何日でも結構です」
140 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 18:38
洋次はバイト先のガスコンロの火にタイプSを垂らす。

理恵「うわあ、可愛いー。こういうの着たかったんだけど」
洋次「制服、それしかないんだ」

大きめの制服を捨てる洋次。

理恵「何か、短くないですか?これ」
洋次「ん」
理恵「別にいいけど」
141 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 18:40
洋次「似合うよ。すごく似合うよ。似合うよ。似合う」
142 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 18:53
チャットをしている洋次。

トラッパ>そんなことよりタイプSの入手先教えろよ>ヒギンズ
ヒギンズ>新しいゲームを手に入れた スゴクいいよ>トラッパ
明けの男爵>またね>あ〜や

洋次「君だけに教えよう。マイ・フェア・レディっていうんだ」

トラッパ>マイ・フェア・レディ?それクラブ?>ヒギンズ
ヒギンズ>キミだけに教えよう。マイ・フェア・レディっていうんだ>トラッパ

洋次「知ってるだろ?大学教授が花売り娘をナイスな女にお育てする」

洋次は理恵の声を録音していた。

理恵
いいけど

洋次「理想はポニーテール。俺だけのうなじ。髪アップにして欲しいな。僕のマイ・フェア・レディになって」

理恵
いいけど
143 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 19:02
洋次「曲げた肘の内側に挟む感じで」
理恵「すっごーい」
洋次「後で教えるね」
144 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 19:08
理恵「えーっと、こうかな。あ、えーっと」
洋次「さっき、ライスに髪の毛入ってた」
理恵「え、私の?」
洋次「店長はパーマかけてるし、僕はもっと短いし」
理恵「ごめんなさい。次からは気を付けます」
洋次「髪アップにして欲しいな」
理恵「はい。じゃあ今度からそうします」
145 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 19:12
洋次「そういえば君、ほんとは中学生なんだって?」
理恵「どうしてそれを?」
洋次「店長や親に言ったら、どうなるかな」
理恵「お願い、言わないで!」
洋次「……」
146 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 19:18
洋次「変だと思ったんだ。学校名を間違えるなんて。深陽学園なのに、深陽高校ってさ」
理恵「学校にばれたら私。受験だし。お願い!」
洋次「髪アップにして」
理恵「え!」

トラッパ>早く入手場所教えてよ>ヒギンズ
トラッパ>それよりタイプS>ヒギンズ
トラッパ>それって大胆って言うかあ>ヒギンズ
ヒギンズ>オレって結構大胆だろ?>トラッパ
147 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 19:22
妙美「悪いね。あんたの分、ちょっと使っちゃった」
洋次「し過ぎるとそうなるのか?」
妙美「はははははは、はははははは、ははは。心配ないって。ほらお金早く」
148 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 19:25
洋次「理恵。理恵。君は野菜しか食べちゃいけないよ。そのスリムな体をキープする為にね」

?パスタ
?チーズケーキ
?野菜スティック

?を選ぶ洋次。
149 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 19:34
客A「へえ、何曜日に来てんの?」
理恵「えっと、月、水、金」
洋次「…」
150 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 19:43
友人A「すみません、水ください」
理恵「はい」
友人B「ねえ、藤花。知ってる?D組の霧間凪。停学中なのにまた昨日この辺うろついてたよ」
友人A「もしかしてさ、例の凪がうってんじゃない?」
藤花「まさか。霧間さんってそんな悪い子じゃないと思うけど」
洋次「ブスばっか」
理恵「ありがとうございましたー」
客A「また来るよ。理恵ちゃん」

洋次:
見るな!見るな!俺だけの理恵だ!
151 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 19:50
店主「さあ、一生懸命働いたご褒美だよ」
理恵「わあ、ラッキー。あ!」
洋次「理恵、それは食べ物じゃないよ」
理恵「…っ」
洋次「理恵、夕べは君食べなかっただろ」

理恵
私、似合う?

洋次「ああ、とっても。スクール水着だし、他のは着ちゃ駄目」
理恵「どうかしたんですか?」
洋次「あれ?まだそんな服着てるの?もう見飽きたよ。ちゃんと水着を選択しといたじゃん。俺」
理恵「あの、私、お先に失礼します!」
152 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 19:57
理恵が男と歩いてる幻影を見て倒れこむ洋次。

洋次「理恵。理恵。ぐあ…」

妙美が暗がりの中に入っていく。

洋次「くれ…タイプSを…」
153 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 20:09
正美「君は今まで自分に満足などしたことはなかった。モテたこともなかった。でも、最近は楽しいだろ?もう充分楽しんだろ?」
妙美「え」

妙美の頭が弾け飛び、それを喰らう美奈子。

洋次「くれ…タイプS」
美奈子「どうしましょうか」
正美「平気さ。もはや彼も我々のスレイヴだからな」
美奈子「ふーん。じゃあ殺す?」
正美「まだ早いよ。もっと末期的なスレイヴを観察してみたい」
美奈子「それを言うなら完成形のスレイヴでしょ」
正美「そう。現実から完全に逃避し、主体性を失い、我々のロボットのように動く。そういう奴が沢山欲しい」
美奈子「人間社会をつくり替える為に、でしょ?」
洋次「君、あれだろ?くれ」
正美「今日見たことは忘れろ」
洋次「はい」
正美「また欲しくなったら、いつでもここに来るんだな」
154 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 20:17
洋次「理恵。君は誰にも渡さない。僕だけのものさ」

男友達を消去しますか?
?はい
?いいえ
消去するとビギナーコースになります

『男友達を消去しました』
155 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 20:22
洋次「オーケー。オーケー。分かってんじゃん。理恵」

理恵
だってえ、着て来いって言うんだもん

理恵が他の男に服を見せている幻影を見る洋次。

洋次「け、消したはずなのに、何故だ!何故だ!」
156 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 20:28
洋次「分かりました。広めます。タイプSの凄さを」
正美「誰でもよくはないが、口が堅くて、そうだ。今の自分にネガティブになっている。そういう感じ」
洋次「はい」
正美「ふっ、タイプSはシナモンのSじゃない。スレイヴのSさ。まさに」
157 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 20:33
洋次の父「お前最近顔色が悪いな」
洋次「…」
洋次の母「勉強のし過ぎですかね」
洋次の父「いや。あいつはもう勉強しとらんはずだ」
洋次の母「え」
洋次の父「見ろ。こんなものが来てたぞ!」

CG学院の入学案内書。
158 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 20:39
洋次「そう。髪を上げる時は必ず背を向けてね」
洋次の父「冗談じゃない。腐っても国立だ!」
洋次の母「でも少しは洋次の気持ちも」
洋次の父「構わん!子供は親のものなんだから!」
洋次「君は僕のものさ。ね、理恵」

理恵
宿題オシエテ

洋次「ああ。なら、僕は家庭教師って訳だね」
159 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 20:49
理恵
先生、オシエテ

洋次「リラックス。学校じゃないんだし、足組んでいいよ。可愛いなあ、君は。そんな気にしなくてもいいのに」
理恵「あ…」
洋次「勉強机のこっち側に立てば、ほら、スカートは隠れるだろ?」
理恵「は、はい…」
洋次「さあ、また座って。さあ、ここへ。さあ」
理恵「お、お願い!」
洋次「誰にも言わないよ。中学生のくせにバイトしてること」
理恵「…っ」
洋次「座り方も僕が教えたよね?足を組んで。足を」

録音した理恵の声を聴かせる洋次。

『いいけど』
理恵「…!」

洋次「さあ、今度は何を教えようかな」
理恵「あ!もういい!」
洋次「ふふ、逃げても無駄さ。君はずっと僕の手の平の上」
160 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 20:53
パソコンに向かって話しかける洋次。

洋次「そうだ。歌を教えよう。カラオケ好きでしょう?曲選んであげる」

理恵「私もう怖くて!」
店主「分かった、安心しな。彼の事はもうクビにするから」
161 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 20:55
光の柱が現れる。

洋次「理恵、さあ僕の前で歌って。あのミュージカル映画のように。
僕のマイ・フェア・レディ」
162 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 21:01
洋次「そ、そんな!」

気付くとパソコンが壊れていた。

洋次「あ…!あ!あ!あ!理恵!理恵!理恵!」
洋次の父「おい、どうした!」
洋次「てめえ!馬鹿野郎!理恵をどこに隠したんだよ!おい!」
洋次の父「何言ってるんだ!いいからここを開けろ!」
洋次「うるさい!うるさい!うるさいんだよ!消えろ!消えろ!お前が消えろ!消えろ、馬鹿野郎!」

理恵が消えていく。

洋次「うわああああああ!!!!!!」
163 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 21:02
SCENE 003
一ヶ月後
164 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 21:03
洋次が繁華街で暴れている。
そこを通りかかる恵と美鈴。

山本巡査「森田さん。そっち押さえてください!」
森田巡査「おい、おとなしくするんだ!」
165 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 21:06
美鈴「ねえ、パヌルーって?」
恵「そうね、パヌルーってのはね」
166 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-26 21:07
洋次「理恵…理恵…理恵…理恵…理恵…理恵…」
167 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 17:51
『あの掲示板がサーバーごと潰されたって』
『またまた。どっかの陰謀系だろ、それって』
『いや、これマジでやばいらしいよ』
『それって、もしかして統和機構?』
168 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 17:54
Vol 05
Interlude
169 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 17:55
間奏
170 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 18:06
森田巡査「まあ、そんな噂が流れてるのは一時期の事で、すぐに誰も口にしなくなるだろ」
山本巡査「ネットの噂なんて、そんなもんですよ」
森田巡査「そう、実際そこで流れた話なんて、組織の実態とはまるでかけ離れたものだった。
だがな。あるんだよ。本当にそういう組織がな」
山本巡査「よくある秘密結社とかの噂でしょ?ま、こう暇だとそんな話もたまにはいっか」
森田巡査「だがそいつらは、世界中を動かす力を持ちながらも、何をする訳でもない。ただ見てるだけなんだ」
山本巡査「見てる?」
森田巡査「そう。そいつらは、ある目的で世界を監視してるんだ」
山本巡査「はは。監視ねえ。あれ?
森田さん、この話前にもしませんでしたっけ」
171 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 18:20
藤花「んん…」

SCENE 001
宮下家

藤花「ん、んん。
おはよう、竹田先輩」
172 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 18:38
TV『今日の気温は、昨日と同じか、1、2度下がるでしょう。ただ、平年より上回る所が多く…』
藤花「おはよう」
藤花の父「ああ」
藤花の母「藤花。早く着替えなさい」
藤花「はーい」
173 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 18:40
藤花「よし」
174 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 18:45
藤花の父「また家出か。何なんだろうな、最近の高校生は。流行ってるのか?そういうのが」
藤花「流行ってないよ。そんなもん」
藤花の父「あの子は、大丈夫なんだろうな」
藤花の母「また、病気出たりして」
TV『関東地方は、午後も引き続き晴れるでしょう』
175 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 18:53
『間もなく発車致します…』
茜「おはよう。藤花」
藤花「あ、おはよう」
176 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 18:55
藤花「何か、どんどん変わってくね」
茜「何が?」
藤花「街の風景」
茜「ああ、そういうもんだよ。大人になるってのは」
177 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 19:02
作業員A「あ?何でしょうね、これ」
作業員B「あー、よく分からんが埋めちまえば一緒だ。気にすることないだろ」
作業員A「監督!こっちのが錆びてボロボロになってるんすけど!」
現場監督「搬入の時にチェックしたのかよ!」
作業員A「監督がしたじゃないすか!」
現場監督「あー、俺か。ったく!」
178 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 19:04
SCENE 002
如月家
179 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 19:14
山本巡査「ん、よっと」
刑事「ん?何だ?これは」
180 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 19:28
山本巡査「如月みお、71歳。心臓発作のようです。えっと、5年前からここに一人暮らしですね」
刑事B「一人暮らしだって?じゃあこれは?」
山本巡査「はあ、35になる娘が一人いるんですが、記憶障害とかで入院中となってまして。ただ、実はこんなものが」
刑事A「私が死んだら、孫の真名花の事を宜しくお願いします。孫がいたのか」
山本巡査「いえ、そんなはずは。入院中の娘にも子供は…。ただその娘、5年前妊娠中に熱病に侵されて、お腹の子を亡くしてるんです。
その時、脳に損傷を負ったらしく、それからずっと病院暮らしなんだそうです」
刑事B「可哀相に。母さんそん時のショックでちょっと脳槽系逝っちゃったんだな」
刑事A「しっかし寂しい最期だなぁ」
山本巡査「俺こんなの嫌だな」

森田巡査は真名花が5歳の時の写真を見つける。

刑事B「じゃあ昼飯でも食いに行くか」
刑事A「近くに何かありますかね」
刑事B「ああ、行ってみよう」
181 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 19:39
山本巡査「ネットの噂なんて、そんなもんですよ」
森田巡査「その組織の目的はな、変化の種を摘む事なのさ」
山本巡査「変化、ですか?」
森田巡査「組織は、変化が嫌いなんだ。だからそいつらは、世界を監視しているのさ。こうしてる今もな。
ところが、その変化が起こったんだよ。人類自身の身にな」
山本巡査「はっはは。森田さん、ひょっとして信じちゃってません?」
森田巡査「ふっ。ただの噂だよ」
182 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 19:41
SCENE 003
深陽学園
183 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 20:02
京子「また消えたね。聖谷の子」
実咲「ああ、あれって死神に連れて行かれたんでしょ」
京子「ブギーポップ?」
和子「…」
実咲「何かね、連れてくんだって。特別な子だけ」
京子「特別な子って?」
実咲「知らない。あーあ、私も連れてってくんないかな」
京子「学校来てもつまんないしねー。霧間凪とかいたら嫌だし」
和子「…」
実咲「この頃いないよ」
京子「また何かやってるらしいよ。駅裏の工事現場うろついてるの見たって」
実咲「死体捨ててんのかなー」
和子「…」
184 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 20:11
山本巡査「ネットの噂なんて、そんなもんですよ」
森田巡査「世界を監視していた組織は、ある時、数百、いや、数千万に一人、特別な子供が現れ始めた事に気付いた」
山本巡査「特別な子。ああ、よく分からないけど、超能力者みたいなものですか?」
森田巡査「まあ、そうだな。それは進化と言ってもいい。
組織は、そいつらを見つけ次第、抹殺する事に決定した。同等の能力を持つ者を使ってな。
ヒトであってヒトでない者、組織がつくった、まあ合成人間とでも言っておこうか」
山本巡査「合成人間」
森田巡査「実はそいつらは、そこら中にいるんだぜ。知らないうちに人間社会に溶け込んでいるんだ」
山本巡査「はは、面白いや。あれ?
森田さん、この話前にもしませんでしたっけ」
185 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 20:14
SCENE 004
旧市街再開発地区
186 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 20:35
和子「何が起こってたのか分からないけど、それは一ヶ月前に終わったんだと思ってた。
多分、あの光がのぼった夜。でも、終わってないのね」
凪「あんたもしつこいな。末真さん」
和子「私には何も教えてくれないんだ。今起こってる事も、5年前の事も。
5年前、私は殺人犯に狙われていた。ところが突然事件は終わって、私は助かり、真相は闇の中…。
霧間さん、ちょうどその頃病気で、1年休学してるでしょ」
凪「何でそんな事」
和子「教えてくれないから調べたの」
凪「チッ」

凪は人影を見る。

和子「県立総合病院」
凪「もう行くよ」
和子「あっ」
凪「末真さん、宮下藤花って知ってる?」
和子「え?宮下藤花って確か、C組の?名前知ってるくらいだけど、何?」
凪「いや、あんたと彼女が友達だったらどんなだろうなと思ってね」
和子「え」
187 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 20:52
山本巡査「本日の死亡、0件と」
森田巡査「その組織の網は世界中に張り巡らされている。もちろん、この街にもな」
山本巡査「え?」
森田巡査「例えば、5年前の連続猟奇殺人事件。覚えてるだろ?あれにもそいつらが関係していたんだ」
山本巡査「噂、ですよね?」
森田巡査「連続殺人が起きる数ヶ月前、合成人間をつくる過程で生まれた実験薬が紛失した。組織を裏切った男がいたんだ。
探偵をやっていたそいつは、薬を盗んで、何故かこの街の県立総合病院に持ち込んだ。
組織はすぐにそいつを殺したが、薬は発見されなかった」
山本巡査「も、森田さん。ひょっとして、信じちゃってません?」
森田巡査「組織の薬が猟奇殺人犯という化け物を生み出した可能性は高い。
だが、事件は突然終わり、真相は組織にとってもいまだ闇の中だ。もちろん、噂だがな」
山本巡査「そ、そういや、県立総合病院って、あの婆さんの記憶障害の娘が入院してる所でしたよね?確か。
いい加減な噂なんて、一杯ありますからね。まあ、たまにはこういう話もいいか。暇だから。あれ?
森田さん、この話前にもしませんでしたっけ」
188 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 20:54
和子「はぁ…ん?宮下藤花」
189 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 21:02
SCENE 005
県立総合病院
190 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 21:17
和子「え」

真名花が光の蝶と戯れている。

真名花「ふ、ふふ。ふふふ、ふふ。ふふ、ふ。ああ。ああ、ふふ」

蝶に触れ、どこかへ飛ばされる和子。

和子「きゃっ」
凪「なあ、どう思う?探偵さん」
和子「え?」
慎平「さてね。なりたいものになれる人なんて、そういるもんじゃないんじゃないかな」
凪「だからって、何になりたいか、自分がどういう生き方をしたいのか考えるのは、無意味じゃないだろ」
和子「霧間さん」

転落死する男。
笑う女。

先生「先輩の子が強い子に産まれますように。ふふふ、ふふふふふ」

沢山のカメラのフラッシュ。
和子が次々と映し出されていく。

和子「やめて。やめて!やめて…」

真名花が蝶を捕まえると、元の場所に戻っていた。
191 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 21:22
和子「何なの?今の」
真名花「何なの?今の」
和子「…」

真名花は光の蝶を握りしめ、笑みを浮かべながら去っていった。
192 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 21:26
和子は手帳に何かを書き込んでいる女性を見る。
193 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 21:28
和子「あ…宮下さん」
藤花「え?」
和子「あ…」
藤花「D組の、えーと」
194 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 21:32
藤花「そっか、末真さんも冬期講習受けるんだ。良かった」
和子「何で?」
藤花「ほら、今から受験勉強すると、皆裏切り者みたいな目で見るんだもん。仲間が欲しかった訳」
和子「ああ」
『発車致します』
195 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 21:38
子供A「お爺ちゃん、あれ何あれ」
老人A「ああ、何だろうな」
和子「でも、何であんな所にいたの?」
藤花「うーん、ていうか受験勉強を前にして、自分の過去を振り返るっていうの。
実は昔、あそこにちょっとだけ通ってた時期があって…」
和子「そうなんだ。どこか悪かったの?」
藤花「それが、体じゃないんだな。まあ、いっか。末真さんになら。
狐憑き」
和子「え」
藤花「だって親は言うんだけど、全然覚えてないのよね」
196 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 21:43
藤花「私は違うと思うんだけど、だって、この現代にそんなのあり得ないじゃない。
でも、何となくその時の事は印象に残ってて、病院の建物とか先生とか、急に懐かしくなって。
ほら、この頃街の風景ってどんどん変わるでしょ?」
和子「そうね」
197 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 21:49
和子「私、本屋寄ってくからここで」
藤花「そう。それじゃあまたね。
末真さん。昔を懐かしむ事と、過去にとらわれる事は、別の次元の事だ。
街の景色が変わるように、人も前に進んでいかなければならない。君なら分かるだろ」
和子「えっと、宮下さん…?
ふふ、面白い人」
198 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 22:01
鎮「そうだ」
小夜子「お兄ちゃん!」
真名花「ふふふ、ふふふ。はは。ふふ、ははは」
プームプーム「それが君の能力という訳だね。過去を運ぶ虫か。面白いな」
真名花「面白いな」
プームプーム「さあ、おいで。僕らは友達になれるよ」
真名花「ふふ。ともだち」
199 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 22:05
『いません、どこにも!あちこち探したんですが!』
『どうしました?』
『すいません。保護されてうちに来た身元不明の娘さん。ちょっと目を離した隙に』
『何ですって!』
200 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 22:22
森田巡査「この街じゃもう一つ、組織が全貌を掴んでない事件がある。一ヶ月前の事だ。
組織の合成人間の失敗作が、研究所の連中を喰い殺して、この街まで逃げてきた。
ところが、一ヶ月前からそいつの痕跡が消えた」
山本巡査「何か、ただの噂話だと思えなくなってきたな」
森田巡査「そして、その日からこの街に異変が起きている。進化を始めた者が、異常発生しているのさ。
組織は、進化した人間を狩る為に、一人の合成人間を送り込んだ。
そうだな、名前を仮にスネークアイとしようか」
山本巡査「…」
森田巡査「そいつは、逃げた人喰いと同じく、人間を喰ってその相手に化ける事が出来る」
山本巡査「!」
森田巡査「言っただろ?合成人間は知らないうちに人間社会に溶け込んでいるってな」
山本巡査「…」
森田巡査「そうやって、新しくやってきたそいつと入れ替わる為に喰われた悲しい犠牲者は、
この街でそいつと最初に出くわしちまった不幸な警官だったって訳さ」
山本巡査「も、森田さん。何でそんな話を俺に」
森田巡査「退屈しのぎさ」
山本巡査「退屈、しのぎ」
森田巡査「そうさ。合成人間も退屈するんだ。人間的だろ?」
山本巡査「は!まさか…」
森田巡査「ああ、俺がその警官だよ」
山本巡査「あ…あ…」
森田巡査「俺の目を見ろ」
山本巡査「あ…あ…」
201 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-03-31 22:30
山本巡査「あ、あれ?俺」
森田巡査「報告書、書くんだろ?」
山本巡査「ああ、そうでした。あれ?お茶がこぼれてる。おかしいなー。俺飲んでたっけ」
森田巡査「なあ、面白い話聞かせてやろうか」
山本巡査「なんすか?」
森田巡査「ある組織の話さ。連中は、ある目的で世界を監視してるんだ」
山本巡査「ネットの噂ですか?よくありますよね。その手の陰謀系の噂。あれ?
森田さん、この話前にも」
202 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 15:07
過去は唐突に
現在を襲ってくる
必ず 記憶の痛みを伴って
霧間誠一
203 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 15:17
山本巡査「…っ。あ、う…う、うえ。はあ、はあ。も、森田さん」
204 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 15:24
医師たち「…ああ!」
検死医「眼球に前頭葉、肝臓がこれで、こっちが十二指腸」
医師「全て分解されている。人間の仕業とはとても思えない。この異常さはあれ以来だ。5年前の一連の殺人事件」
205 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 15:30
山本巡査「森田さん…」
女性「きゃあ!うわあ、きゃああ!」

山本巡査が見ると、血だらけの女性が倒れている。
そこに立つ一人の女。

山本巡査「あ…、や、や、や、やめろ!」

銃を構えて発砲しようとしたが、その女は消えてしまう。
206 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 15:32
蝶々と戯れる真名花。
それを見守るプームプーム。
207 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 15:35
SCENE 001
5年前
208 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 15:49
凪「若狭静枝さん、どんな人だった?人に恨まれたりとか」
里香「静枝はそんな人じゃありません!」
凪「良かったら、話してくれないかな」
里香「明るくて、優しくて、ちょっときつい所もあったけど、でもあれは、静枝が強い人だったからで」
凪「強い?それってどういう風に?」
里香「気持ちが真っ直ぐって言うか…」
凪「精神的に強かった、頼り甲斐があった、とか?」
里香「う…」
209 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 15:50
SCENE 002
現在
210 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 15:59
幸子「里香さん、って仰いましたね」
里香「ずっと交換日記をしてたんです。静枝さんとは。引っ越しされると聞いて」
幸子「それは、ご丁寧に」
里香「本当は迷いました。お母さまに見せて良いのかどうか。お互い、悩みを書いていましたから、あの…」
幸子「ええ、解っています。それも思い出ですから」
里香「それでは、お元気で。知ってます?この頃街に、過去が蘇るって」
幸子「え?」
211 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 16:07
幸子「静枝…許して」

(静枝「触らないで!」)

❝里香んち来るの?
授業参観?うち、きっと
両方くるよ。でも、なんか
本人たち、デートみたい。
何着てこーかとか言ってんの!❞

幸子「ん?」

❝ごめんね。
心配かけて、ごめん。
今日これしか書けない。
涙がとまったら、
ゆっくり話すから。❞

幸子「…っ」
212 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 16:10
SCENE 003
7年前
213 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 16:14
静枝「う…う…お父さん」
幸子「いつまで泣いてるの?勉強の時間よ。私も、一緒にやるから」
静枝「…」
214 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 16:20
❝本当に泣いてはいられなかった。
すでに母は、
保険外交員の職をきめていた。
もう私の前で涙をみせず、

幸子「じゃあ、チンすればいいから。行ってきまーす」
静枝「行ってらっしゃい」

父が死んでから一週間。
まだ私は受験の問題集すら
開いてないというのに、
その日、私は、初めて
母親に作り笑いを
した。❞

幸子「ん…?あ!」
静枝の幻影を見る幸子。
気付くと消えていた。
215 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 16:22
光の蝶々と戯れる真名花。
216 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 16:23
SCENE 004
5年前
県立総合病院 精神科診察室
217 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 16:35
真希子(女医)「でも、自宅で産むなんて、ほんとマイペースな真弓さんらしいわ。
高校時代からちっとも変わってませんね」
真弓「マイペースって言うか、病院だと色々詮索されるでしょ?」
真希子(女医)「シングルマザーって事?そんな、今時よくある話ですよ。それより、どうです?
イライラとか、メンタルな部分の具合は?」
真弓「おかげさまでそっちは平気よ。この間真希子が打ってくれた注射が効いたのかもね」
真希子(女医)「そう。なら全ては順調って訳ですね」
真弓「ただ、昨日辺りからちょっと痛むのよ。陣痛にしては早い気がするし」
真希子(女医)「たまにそういう人もいますわ。平気ですって」
真弓「…」
218 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 16:38
SCENE 005
同 内科診察室
219 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 16:45
医師「尿と血液は異常ないんですけどねー。五月病ってやつじゃないの?で、胃どう痛いわけ?」
静枝「どうって…」
医師「食前に痛むとか食後に痛むとか。君さ、髪伸ばした方が似合うんじゃない?」
静枝「薬が欲しいんです。薬局で売ってるより強い薬貰えるんですよね?」
医師「まーたまた。そういう可愛くない事言う患者多いんだよな。さあ、じゃあ。お腹見るから服上げて」
静枝「…!」
医師「どうしたの?さあ」

静枝「うっ…やめて」

静枝「うっ…」
医師「君!」

何かを思い出し、おう吐してしまう静枝。
220 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 16:51
真弓「綺麗よね、そのナデシコ。本当は夏から秋にかけて咲くはずなのに、ここ暖かいから。
人間で言うなら早産って事かしら。あ、ごめんなさい。休んでらしたのね」
静枝「いえ」
真弓「それとも同じナデシコ科だから、それ引っこ抜いてあげちゃおうって事かしら?」
静枝「え?」
真弓「だって今日、母の日でしょう」
静枝「…」
221 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 17:08
真希子「先に言っておきますけど、心療内科のセラピーは別料金ですから。
分かる?医者にだってアフターファイブはあるのよ。ふふ。
経験から言わせてもらうと、おそらくPTSD。トラウマによる神経性の急性胃炎ね。
後はそのトラウマを払拭するだけ。さ、始めましょうか」
静枝「無駄だと思います。どうせ、誰も分かってくれない」
真希子「無理に治す必要ないんじゃない?」
静枝「え?」
真希子「女性は弱い方が結果的に幸せって事もあるわよ。強い女ほどタチの悪い男に狙われるわ。
プライドをずたずたにする事を快感に思う殺人鬼のような者に」
静枝「え…」
真希子「あなたを励ます為に言ったのよ。でも、例えが悪かったわね。ごめんなさい」
静枝「別に、強くなんかなりたくありません」
真希子「…」

静枝は、幸子がつくった弁当をごみ箱に捨てたことをふと思い出す。

静枝「…!」
真希子「やっぱり、話したくないならいいわよ。今日は」
静枝「夢を、見るんです」
真希子「どんな?」
静枝「獣が、襲ってくる」
真希子「あなたを?」
静枝「母をです」
真希子「どんな獣?」
静枝「でも、母は、逃げないんです」
222 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 17:10
SCENE 006
現在
223 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 17:16
❝今年ほど複雑な気分で
迎える9月はないと思う。
学校が始まって皆に会える
のは、うれしいけど、父の命日
も同じ9月。

カレンダーの数字も日によって
意味が違う……❞

幸子「…」
224 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 17:23
静枝「お母さん、私これ着ていく」
幸子「お墓参りに赤い服着ていく人がどこにいますか」
静枝「お父さんがこれが一番自然に似合うって言ってた。ね、お母さんもそうしよう。パパが喜ぶように」
幸子「そうしよっか」
静枝「あ、お母さんちょっと待って。白髪。あ、ごめーん。抜くと増えるんだっけ?」

幸子「ふふ」

幸子:
あなたは決して寂しいふりを見せなかったわね。
私思ったわ。
負けてはいられない。
この子の為に頑張らないと。
まずは高校。せめて大学を卒業させるまではって。
225 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 17:26
幸子「このプランですと、例え事故に遭遇しても、労災と同じ金額の保証が得られます。
あくまで万一ですけどね」
226 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 17:31
幸子「はぁ…」
上司「若狭君。もう今日は終わりにしたらどうだ」
幸子「いえ、明日までに見積もりを出す約束でしたので」
上司「君って本当に偉いんだね」
幸子「あ」

幸子:
その一言で、全身から力が抜けていくようだった。
全身から。
227 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 17:34
交換日記をふと閉じる幸子。
また静枝の幻影を見る。
その幻影は静枝の部屋へと入っていく。
追いかけていく幸子。
開けるとそこには、当然のように誰もいなかった。

幸子「静枝…」
228 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 17:36
SCENE 007
5年前
229 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 17:42
真希子「どんな獣?」
静枝「それは…」

幸子の仕事先の上司と幸子が車の中でキスしているのを見かける静枝。

静枝「ああ、うっ!」
真希子「我慢するのよ。ここで逃げていちゃあ、いつまでもその痛みは治まらない。さ、話して」
静枝「は…」
230 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 17:47
❝里香、ごめんね…。
こんなこと書いて…。
気分悪くしたでしょ。
でもね…。
私、その百倍
気持ち悪かった。
今日見たこと幻で
あってほしい…。❞
231 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 17:50
幸子「静枝?」
静枝「触らないで!」

静枝:
悲しいけれど、それは現実だった。
母は車の中と同じ、白いワンピースを着ていた。
一生私は白のワンピースは着ない。
232 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 17:54
❝今日誠にフラれちゃった。
このあいだメールで告白
したばかりなのに。
里香、どうしよう。❞

静枝「い、いや。やめて!」
誠「静枝、ごめん。俺、我慢できないんだ!」
静枝「う…」
233 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 18:04
真希子「最初に目の当たりにした性というものが、不幸にも母親だった。
あなたが大好きだったお父さんを、同じようにまだ愛してるはずと思っていた母親の」
静枝「いや」
真希子「以来、セックスというものを、必要以上に殻に閉じ込めた」
静枝「私、このままじゃ一生…いや…そんなの、嫌…先生、お願いです!治してください!
私こんなんで負けたくないんです!」
真希子「負けたくない?」
静枝「あんな母親のせいで、自分が駄目になりたくない!」
真希子「そうかしら?いちいちメソメソするようだと、いつまで経っても…」
静枝「出来ます!」
真希子「その自信、どこから来るの?」
静枝「学んだんです。私」

幸子「静枝!開けて!開けて静枝!」

静枝「このままでは自分が駄目になると思って、部屋に閉じ籠もってずっと勉強してたんです。
毎晩毎晩。成績も上がって、志望校にも入れたし」
真希子「そうなの。あなた、充分強いじゃない」
234 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 18:06
SCENE 008
現在
235 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 18:09
❝花になりたい。
植物ならなんでもいいけど
たんぽぽとか…。
たんぽぽ
タネになって生まれてきたら、
風が運んでくれるし…。
そう、すぐに一人になれる。
親なんかの顔を見ずに…。❞
236 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 18:16
幸子:
静枝、気付いてたわよね。
知ってたわ。
でも言えなかった。
勇気が無かったの。
言えない自分をまた責めながら仕事に打ち込むしかないって。
せめてあなたの学費だけは何とかしようって。
ずるい親よ。
許してもらえるはずもない。
237 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 18:18
光の蝶が弾ける。
幸子が気付くとそこには静枝の幻影があった。
その幻影は、触らないでとつぶやいた。

幸子「静枝…!」
238 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 18:22
街中で光の蝶々が弾ける。
凪が振り向く。
ブギーポップが現れ、額を貫かれた真希子は断末魔をあげる。
239 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 18:24
SCENE 009
5年前
240 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 18:37
静枝「あ、あ!」
真弓「う…」
静枝「大丈夫ですか!」
真弓「また、お会いしたわね。あっ…」
静枝「病院の人、呼んできます!」
真弓「いいのよ」
静枝「でも。…!」
真弓「どうせ、言われることは分かってる。今なら手遅れにならない。出産は諦めろ」
静枝「え」
真弓「昨日近所の助産婦さんにも言われたわ。それで気を紛らわそうと友達の精神科医に会いに来たのよ」
静枝「でも、じゃあご主人とか」
真弓「いないわ」
静枝「え。あ、ごめんなさい。余計な事」
真弓「全然。私今流行りのシングルマザーだから。もう決めてるのよ。名前に花という字を入れるって。
女の子なら、真名花」
静枝「…」
241 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 18:44
真弓「ごめんなさい。心配かけて」
静枝「あの」
真弓「ん?」
静枝「寂しくないんですか?」
真弓「寂しい?」
静枝「だって」
真弓「寂しいわよ、女としては。でも、母親としては充実してるわ。きっと、あなたのお母さんもそうだと思う」
静枝「…あ。私の?」
真弓「さっき隣の部屋で休んでたの。ごめんなさいね。話聞こえちゃって」
静枝「いえ、いいんです。もう」
真弓「私、妊娠して分かったの。男と違って私達には二つの顔があるって。女の顔と母の顔」
静枝「…」
真弓「ほら、植物にも花と葉っぱがあるでしょう?日光を浴びて、必死に栄養分を吸い取る葉と、
もうこっちはひたすら自分を美しく見せたい花。花が女の顔で、葉が母の顔」
静枝「あ、白髪…」
242 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 18:46
静枝「あ、お母さんちょっと待って。そのまま」
幸子「いった」
静枝「でもごめん。抜くと増えるんだっけ?白髪」
幸子「こら」
243 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 18:48
真弓「駄目ね、私。しっかり手入れしなくちゃ。綺麗な花が台無しだわ」
静枝「そこまでして、産むの?」
真弓「そうよ」
244 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 18:49
SCENE 010
現在
245 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 18:55
引っ越し作業を見守る最中、幸子は光の蝶を見つける。
それを追いかけ気付くと、静枝が立っていた。

幸子「静枝…」
静枝「私、ずっと無理してたの。弱くなっちゃっていけないって。
ずっと意地張ってて。ごめんね」
幸子「あ…」

静枝が消えたそこには、カーネーションがあった。

幸子「ありがとう。静枝」
246 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 18:57
Vol 06
Mother's Day
247 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 18:58
汝、母を愛せよ
248 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-16 19:00
光の蝶々と戯れ走り出す真名花。
249 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 14:36
小夜子(小学生)「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ…、寒い、寒いよ…」
小夜子「!」
不良B「わりいんだけどさ、ちょっと金貸してくんない?持ってるだけでいいんだけどさ」
小夜子「…」
不良C「待てよコラ!そりゃあ駄目でしょ。金出せっつってんだから、出すのが普通でしょ」
鎮「見つけた」
不良C「あ?何だと?」
鎮「いらない物」
不良C「あ!う、あ…あ…ぐ…あ…」
不良B「な、何だ!てめえ、何を?」
鎮「いらない物は全部分解する。次はお前達を分解してやろう」
不良C「この野郎!うわあっ!手がああっ!」
不良B「ば、化け物!」
鎮「どう分解されたい?手足をバラバラにされたいか?それとも。どっちにしても、最後には跡形無く消してやる」
不良B「来るな!来るな!」
小夜子「やめて!もうやめて!」
不良B・C「うわああー!」

小夜子に殴る蹴るの暴行を加える鎮。

鎮「邪魔するなって言ったろ。あいつら、いらない物だったんだぞ。う、うえ…」
小夜子「お兄ちゃん」
小夜子(小学生)「寒いよ、お兄ちゃん」
250 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 14:37
及川 鎮
及川小夜子
251 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 14:41
Vol 07
Until Ure In My Arms Again
252 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 14:42
世にかなわぬ願いなく
253 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 14:52
香奈枝「もうこんな時間。あなた、行ってきます」

小夜子:
お父さんもお母さんも、お兄ちゃんの力の事を知らない。
一ヶ月前。
光がお兄ちゃんに与えた力の事を。
254 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 14:53
SCENE 001
一ヶ月前
255 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 15:00
小夜子「お兄ちゃん?」

小夜子が電気を付けると、鎮はパソコンの部品をいじっていた。

小夜子「お兄ちゃん」
鎮「どれかな?」
小夜子「え?」
鎮「いらない部品。こんなにごちゃごちゃしている必要なんかない。
いらない物があるに決まってるんだ。そいつを見つけて、見つけだして…」
小夜子「お兄ちゃん、もうやめて!お願いだからもう!」

光がのぼっていく。

小夜子「!」
256 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 15:06
小夜子が1階へ降りると、鎮はコーヒーを見つめていた。
そのコーヒーがブクブクと音を立てている。
驚く小夜子。
257 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 15:14
鎮「面白いものを見せてやる」

そう言って、鎮は捨て猫を抱きかかえた。
小夜子が微笑ましく見ていた次の瞬間、
猫は血しぶきをあげて跡形も無く消えてしまうのだった。

小夜子「ああ…うう…いやあ!」
鎮「ふふふ。う、うえ…」
小夜子「お兄ちゃん」
鎮「小夜子。この世には、いらない物が多すぎると思わないか?
分解してつくり直す必要がある。これって、そういう事だと思わないか?」

震えが止まらない小夜子。

香奈枝「小夜子?小夜子?」
小夜子「…!」
258 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 15:16
小夜子:
今のお兄ちゃんにとって、この世はごちゃごちゃとした部品の寄せ集め。
その中から、お兄ちゃんはいらない物を消してしまおうとしている。
でも、あの光はお兄ちゃんの願いを叶えたに過ぎない。
いつからだろう。
いつからお兄ちゃんはあんなに。
259 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 15:19
SCENE 002
5年前
260 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 15:34
小夜子(小学生)「お兄ちゃん。何つくってるの?」
プームプーム「これはね、笛吹きの衣装さ。今度の劇でハーメルンの笛吹きやるんだ」
261 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 15:38
小夜子:
そう、昔のお兄ちゃんはあんなじゃなかった。
つくる事が好きで、そして私は…。

安能「及川」
小夜子「安能先輩」
262 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 15:45
安能「悪いな。橘の手紙読んでくれた?」
小夜子「え、あ、はい」
安能「あいつさ、度胸無くて全部俺に任せきりなんだよな。で、返事の方なんだけど」
小夜子「ごめんなさい」
安能「そっか。他に好きな奴がいるとか」
小夜子「…」
安能「まあ、いいや。橘には俺の方から言っとくから。あ、気にしないでくれな。この事。じゃあな」
小夜子「…」
263 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 15:56
山本巡査「どうしました?」
スプーキーE「どうなってる」
森田(スネークアイ)「ん」
スプーキーE「進化の原因だ。何か掴めたのか?」
山本巡査「お知り合いですか?森田さん」
森田(スネークアイ)「お前は」
スプーキーE「スプーキーエレクトリック」
森田(スネークアイ)「エコーズだ。やはりマンティコアを追って、この街に来ていたらしい」
山本巡査「ん?」
スプーキーE「やはりな。奴ら、俺達合成人間の素体でもある。進化を促しても、不思議じゃないって訳だ」
山本巡査「あの、森田さん?」
スプーキーE「なんにせよ、訳の分からん新種にうろつかれたんじゃたまらん。殺せ。一人残らず」
森田(スネークアイ)「やってる」
山本巡査「森田さん。何の…な、何ですか?森田さん。今の。それに、殺すって一体」
森田(スネークアイ)「…」
山本巡査「ひえ…」
264 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 16:10
小夜子「この頃ね、よく思い出すの。昔の事。覚えてる?お兄ちゃん。ハーメルンの笛吹き」

小夜子を蹴り飛ばす鎮。

鎮「当てつけか」
小夜子「お兄ちゃん」
鎮「お前、ムカつく。ん?何ですか?」
凪「こんな所で中学生を殴るなんて、穏やかじゃないね」
鎮「妹です」
凪「妹なら殴ってもいいってか」
鎮「離してください。離せよ」
凪「!」
小夜子「ここじゃ駄目!放っといてください。私達に構わないでください。お兄ちゃん!」
凪「落としたよ」
小夜子「…!」
凪「どういう意味?ここじゃ駄目って。あんたのお兄さん、ひょっとして」

落としたキーホルダーを凪からひったくる小夜子。

小夜子:
今のお兄ちゃんは本当のお兄ちゃんじゃない。
でも、お兄ちゃんはきっと帰ってきてくれる。
あの時だって。
265 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 16:18
SCENE 003
深陽学園
266 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 16:19
小夜子「この頃ね、よく思い出すの。昔の事。覚えてる?お兄ちゃん。ハーメルンの笛吹き」

小夜子を蹴り飛ばす鎮。

鎮「当てつけか」
小夜子「お兄ちゃん」
鎮「お前、ムカつく。ん?何ですか?」
凪「こんな所で中学生を殴るなんて、穏やかじゃないね」
鎮「妹です」
凪「妹なら殴ってもいいってか」
鎮「離してください。離せよ」
凪「!」
小夜子「ここじゃ駄目!放っといてください。私達に構わないでください。お兄ちゃん!」
凪「落としたよ」
小夜子「…!」
凪「どういう意味?ここじゃ駄目って。あんたのお兄さん、ひょっとして」

落としたキーホルダーを凪からひったくる小夜子。

小夜子:
今のお兄ちゃんは本当のお兄ちゃんじゃない。
でも、お兄ちゃんはきっと帰ってきてくれる。
あの時だって。
267 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 16:20
SCENE 004
5年前
268 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 16:25
教師A「いましたか」
教師C「いや、こっちには」
教師A「二人でそう遠くへはいけないと思いますが」
教師C「もう少し、探してみましょう」
小夜子(小学生)「お兄ちゃん、足が痛い」
プームプーム「頑張れ。もう少しで皆の所に戻れるからな」
小夜子(小学生)「お家に帰りたいよう」
269 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 16:34
木で何かを削りながら、プームプームは言う。

プームプーム「そこで男は言いました。この街のネズミ全てを退治してみせましょう。
そうして、笛を吹きならすと、町中のネズミが男の周りに集まってきたのです」
小夜子(小学生)「お兄ちゃん、寒いよ。お腹空いたよ」
プームプーム「出来た」
小夜子(小学生)「え」
プームプーム「お守り。道に迷っても、それを持ってるときっと家に帰れるんだ」
小夜子(小学生)「お兄ちゃん?」
プームプーム「僕が助けを呼んできてやる。その人形がお前を守ってくれるから、心配しないで待ってろ。いいな」
270 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 16:39
小夜子:
生まれて初めて、お兄ちゃんがくれた手作りの人形だった。

教師A「おい、いたぞ!大丈夫かい。お嬢さん」
教師C「おい毛布持ってこい!毛布!」
プームプーム「…」
小夜子「…」
271 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 16:48
香奈枝「これ、メリーゴーランドじゃないかしら。ここ」
小夜子「お母さん?」
香奈枝「ああ、おかえり。これ?あのね。何かを成し遂げる事が立ち直るきっかけになる事もあるって。
ほら、お父さん。これがきっかけで。ね。だから」
小夜子「…!お兄ちゃん」
鎮「…」
272 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 16:53
SCENE 005
県立総合病院
273 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 17:01
婦長「結局ね。心因性のものじゃないかって先生がそう仰ってたわ。
何にもないのに吐き気がするなんてねえ。それにしても偉いわね、及川さん。
いっつもお兄ちゃんに付き添って」
小夜子「どんな事でもいいんです」
婦長「え」
小夜子「お兄ちゃんの力になってあげたい。傍にいてあげたいんです」

光の蝶と戯れている真名花を見かける及川兄妹。

小夜子「お兄ちゃん?お兄ちゃん、この人…」
真名花「ふふ。あ、あ、ふふ」

真名花が光の蝶を及川兄妹に飛ばす。
274 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 17:16
達朗「どうだ、小夜子。ペイズリーパークって言うんだぞ。お父さんの会社がつくるんだ」
香奈枝「取れたんですか」
達朗「ああ、誘致団体から、ジオシティ計画の連携を唱えたのはうちだけだったからな。これから忙しくなる」
香奈枝「おめでとうございます」
プームプーム「お父さん」
達朗「鎮か」
プームプーム「約束覚えてる?」
達朗「約束?えーと」
プームプーム「父兄参観だよ。今度の日曜はお父さん、来てくれるって約束したじゃないか」
達朗「あ、ああ、そうだったな。大丈夫。きっと行くよ」
プームプーム「きっとだよ。約束だよ」
275 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 17:27
プームプーム「お金と引き換えに、この街のネズミを退治してあげましょう。
この笛でネズミを連れて行きましょう」
児童A「どうして子供達を連れ去ったのですか」
児童B「返してください。子供達を返してください」
プームプーム「子供達は帰ってきません。あなた達が約束を破ったからです。
約束を破ったからです」

香奈枝「お父さんはね、お仕事が忙しかったのよ」

達朗「そんな話ってありますか!ジオシティがパンクしたからって取り決めたものを!もしもし!もしもし!」

笑うプームプーム。
276 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 17:35
小夜子「何?何今の」
鎮「そうだ」
小夜子「お兄ちゃん?」
鎮「見つけた。いらない物」
小夜子「いらない物?」

走り出す鎮。

小夜子「お兄ちゃん!」

追いかける小夜子。
それを見る真名花。

小夜子:
そうなの?お兄ちゃん。
さっきの事?
本当に!?

小夜子「寒い。何なの?何なのよ、これ!」
277 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 17:41
森田(スネークアイ)「入院していたんですか?ここに」
婦長「ええ、何日か前に保護されてきて。
でもさっきから姿が見えないんです。皆で探してるんですけど。
あ、この事はまだ。その病院としてもあれですから」
森田(スネークアイ)「解っております。お取込み中失礼しました」
278 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 17:44
廃人になっている達朗。

小夜子「お母さん!お母さんしっかりして!お兄ちゃんは!お兄ちゃんはどこに行ったの!?」

半笑いを浮かべ食器洗いを続ける香奈枝。
279 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 17:46
SCENE 006
ペイズリーパーク
280 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 17:52
小夜子「お兄ちゃん!お兄ちゃん!…!お兄ちゃん!」
鎮「こいつだ」
小夜子「え」
鎮「この出来損ないの遊園地が、この世で一番いらない物だったんだ。これさえなきゃ。こいつさえなきゃ」
小夜子「やめて、お兄ちゃん!」
真名花「やめて」
小夜子「あ」
真名花「やめて」
森田(スネークアイ)「ほう、なるほど」
小夜子「あ。う!」

森田(スネークアイ)に手で弾かれる小夜子。
281 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 17:57
森田(スネークアイ)が軟体になり、鎮の体に巻き付き絞め殺そうとする。

森田(スネークアイ)「貴様自身には何の力もない」
鎮「うごあ…」
小夜子「お兄ちゃん」

次の瞬間、森田(スネークアイ)が血しぶきをあげて分解された。
282 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 18:04
小夜子:
思い出した。この寒さは。

小夜子(小学生)「寒いよ。お兄ちゃん」

小夜子:
あの時だった。
あの時から私はお兄ちゃんの事が…。
283 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 18:05
小夜子「(嘘…そんな…そんなのって)」

小夜子:
そうだ。
光が力を与えたのはお兄ちゃんにではなかった。

小夜子「(そんな事って)」

小夜子:
光は私に力を与えてくれたんだ。
お兄ちゃんの願いを、何でも叶えてあげる力を。
284 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 18:12
鎮「お前が。そうだったのか」

小夜子:
どんな事でも良かった。
傍にいて、お兄ちゃんの力になりたかった。

小夜子「お兄ちゃん」
プームプーム「お金と引き換えに、この街のネズミを退治してあげましょう」
鎮「!」
小夜子「おにいちゃん」

真名花に連れていかれるプームプーム。

鎮「待て。待ってくれ!行かないでくれ!」
プームプーム「…」
鎮「行かないでくれ…」
285 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 18:19
鎮「ずっと前から、分かっていたのかも知れない」
小夜子「え」
鎮「本当にいらない物。あの時、僕はあいつを。それまでの自分を捨てた。
僕が消してしまいたかったのは、僕自身だったのかも知れない」
小夜子「お兄ちゃん」
鎮「ん?」
小夜子「私を、分解できる?分解して。私のせいでお兄ちゃん」
鎮「出来る訳ないだろ。分解を選んだのは僕だ。小夜子はそれを叶えてくれただけだ」
286 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 18:20
鎮「また迷子になってた」
小夜子「お兄ちゃん。おかえり、お兄ちゃん」
287 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-18 18:22
ブギーポップファントムが現れる。
誰もいなくなった部屋。
そこには、鎮がつくった人形を小夜子がキーホルダーにしたものだけが置かれていた。
288 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 16:45
凪「じゃ」
慎平「ああ」

慎平:
一体何人の者が、彼女の事を知っているんだろう。
たった一人で世界の危機と戦い続けてるこの少女の事を。
289 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 16:47
凪「じゃ」
一朗「ああ」

一朗:
一体何人の者が、彼女の事を知っているんだろう。
たった一人で世界の危機と戦い続けてるこの少女の事を。
290 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 16:50
Vol 08
She's So Unusual
291 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 16:50
彼女の生き方
292 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 16:52
脳と言う小宇宙は
自己という物語を造る
人は皆 物語を生きる
霧間 誠一
293 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 16:55
一朗:
彼女の物語を語るには、その日まで遡らなければならない。
294 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 16:57
10月28日午後4時27分
295 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 16:58
飛んでいく光の蝶。
296 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 17:04
一朗:
5年振りに降り立った街。
そこで俺は、しばらくまるで記憶喪失のように、立ちつくしていた。
岸田一朗。それが俺の名前。
雑誌のライターをしている俺は、数年前に死んだとある作家の特集記事の為にやって来たのだ。

一朗「何を持っているんだい?」
真名花「なにをもっているんだい?あう…」
297 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 17:06
一人の男にブギーポップが語りかける。

ブギーポップ「君は、何かを追い求めているのだろう。
だったら、絶望している暇はないはずだ。それを見つけるまでは」
298 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 17:09
一朗「今のは一体」
真名花「いまのはいったい」
299 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 17:10
時間というものはない
あるのはただ
記憶という幻想だけだ
霧間誠一
300 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 17:15
凪「あ、黒田…さん?」
一朗「え?いや。私は岸田というんだが、雑誌の編集をしている者で」
凪「ああ、そう。ごめん。昔の知り合いに似てたから」
一朗「霧間凪さん、だね?今度うちの雑誌で、お父さんの故霧間誠一先生の特集を組む事になってね」
凪「悪い。またにしてくれるかな。これから出かけるんだ」
一朗「あ、待って」
301 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 17:17
一朗「何しているんだ?」
凪「…」
302 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 17:18
10月29日午後0時34分
303 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 17:28
一朗「どうしたんだよ。こんなとこ勝手に入って」
凪「しっ」
久志「何でだ。俺なんか、喰ってもまずいだろ。俺みたいな臆病者を喰っても」
凪「誰かいるのか!」
一朗「やれやれ」
凪「そこのあんた、逃げろ!」
久志「ひい!」
凪「マンティコア。なんでお前が」
ブギーポップ・ファントム「悪いが君の相手をしている暇はないんだ」
凪「…っ!」
ブギーポップ・ファントム「待ちたまえ。こんな顔をしてはいるが僕はマンティコアじゃない。
仕方なかったんだ。君達がマンティコアを倒した夜、
あの人喰いは僕のオリジナルをはっきり見なかったんだからね」
304 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 17:34
美奈子の首が絞まる。
光の柱に入っていく正美。
305 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 17:42
ブギーポップ・ファントム「どうやら僕は、あの瞬間生まれたらしい。
だが光と一緒に散らばった記憶の中には、この帽子とマント姿しかなかったから、
適当な顔を拝借したという訳さ」
凪「だけど、何で今更」
ブギーポップ・ファントム「さあ。何しろ僕は受動的だからね。
これで分かったろう。僕がブギーポップだということを。
いや、オリジナルに敬意を表して、ブギーポップ・ファントムとでも名乗っておこうか」
凪「待て!…っ!」
一朗「大丈夫か。何なんだ、今のは」
凪「さあね。過去の残像みたいなもんかな」
306 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 17:46
実在は物質に依存しない
なぜなら全てが
幻影なのだから
霧間誠一
307 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 17:47
11月5日午後4時13分
308 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 17:49
凪「まだいたんだ。帰ったのかと思った」
一朗「あんなもの見て放っとけないだろ」
309 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 18:01
一朗「この街に来て、歪んだ虹を見た」
凪「あれは虹じゃないよ」
一朗「そうだな。磁場に太陽のプラズマや荷電粒子が衝突して起きる現象、つまりオーロラだ」
凪「へえ」
一朗「この街の電磁場が狂ってるんだな」
凪「金属が錆びやすくなってるのも、一部の植物が異常に成長してるのもそのせいだろ」
一朗「それを調べていたのか」
凪「そしたら、あんな奴に遭遇しちまったって訳」
一朗「一人で、一人で戦おうとしているのか?どうして。どうして誰かに助けを求めない。
なんで誰にも頼らず、一人で生きようとするんだ」
凪「さあね。病気だからかな。さっきここで会った子ね」
一朗「ん」
凪「ここが大切な場所だと言ってた。人それぞれ、過去があって今があるんだね。私もそういう事」
310 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 18:06
11月8日午後3時40分
311 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 18:07
凪「チッ」

凪は一朗を見る。
312 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 18:13
凪「岸田さんが見たの、それはエコーズだよ」
一朗「エコーズ?」
313 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 18:14
凪「私の友達の説明によると、マンティコアのオリジナル。つまり、化け物の素体ってとこかな」
一朗「素体ねえ」
凪「彼は、人喰いになった自分のコピーを、片付けるためにこの街まで追ってきた。
そして、それは終わったはずだったんだ」
314 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 18:20
凪「でもその女の子、気になるな」
一朗「光の蝶を集めていたのかい?」
凪「同じ言葉を繰り返すのは、エコーズの特徴なんだ。もしかしたら、彼のように進化した子なのかも知れない」
一朗「進化?」
凪「人類がこれから進化する姿だってさ。エコーズは」
一朗「え」
315 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 18:25
凪「それより何。こんなとこ連れてきて。まさか、デートしたいって訳じゃないだろうし」
一朗「いや、デートしてくれるなら願ってもないんだが」
凪「バーカ」
一朗「脳のホログラフィ理論って知ってるかい?」
凪「ん」
一朗「君のお父さんの本にも紹介されているよ。現実は脳が見ているホログラムだってね」
凪「親父の好きそうな与太だね」
316 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 18:33
一朗「普通のホログラムは、記録された光の干渉磁場なんだ。
君のいうエコーズの光がこの街に広がった時、その瞬間の記憶が電磁的な干渉磁場として定着したんだとしたら」
凪「街がホログラムになった」
一朗「我々が見たそのファントムは、その表象に過ぎない」
凪「だとしたら、これ一個じゃ歯が立たないか」
317 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 18:36
一朗「世界という巨大なホログラムには、過去も現在も無く、全てが折りたたまれて存在しているんだそうだ。
ただその振動数を脳が読み解く時、今という誤解が生まれる」
凪「じゃあ、過去もここに残ってんのかな」
一朗「…」
318 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-19 18:37
この 世界という空像は
絶えず震えている
なにがそんなに悲しいのか
霧間誠一
319 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-20 14:20
11月12日午後3時16分
320 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-20 14:21
落としたキーホルダーを凪からひったくる小夜子。

凪「あ」
一朗「…」
321 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-20 14:25
凪「ジオシティ計画。景気の良かった頃に計画された、地下都市構想だよ。
街のライフラインとなる共同溝まで掘ったんだけど。近年の財政難でとん挫」
322 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-20 14:29
一朗「何してるんだい?」
凪「買い物。良い電池が無くってね」
一朗「電池?」
凪「30個ほどいるんだ」
一朗「それより岸田さん。ちょっと付き合ってくれるかな」
凪「デートかい?ん?付き合ってほしい場所ってここかい?」
323 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-20 14:30
一朗「何してるんだい?」
凪「買い物。良い電池が無くってね」
一朗「電池?」
凪「30個ほどいるんだ。それより岸田さん。ちょっと付き合ってくれるかな」
一朗「デートかい?ん?付き合ってほしい場所ってここかい?」
324 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-20 14:37
凪「昔、ここに入院してた事があるんだ」
一朗「君が?大怪我でもしたのかい?」
凪「違うよ。原因不明の病気。医者は、成長痛とか言ってた」
一朗「成長痛って?」
凪「体の育ち方が普通じゃなかったんだろ。あのまま育ってたら、化け物になってたかも」
一朗「進化」
凪「その頃ここで、黒田さんって人と知り合った」
一朗「黒田?」
凪「職業は探偵だって。笑っちゃうよね。その人が言ったんだ。正義の味方になりたかったって」
一朗「そう。それで君は何て言ったんだい?」
凪「なればいいじゃんって」
325 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-20 14:46
凪「その後もまあ色々あったけど、私はずーっとこうして、今も生きてる訳だ」
一朗「…」
凪「多分その人のおかげなんだと思う。だから代わりに正義の味方してるって気はないんだけどね。ただ」
一朗「ただ?」
凪「もう一度会えたら、一言ありがとうって言いたいと思ってる。
なんでかな。岸田さん見てたら、この話聞いて欲しくなったんだ」

一朗:
凪は気付いているんだろうか。
それが多分初恋だという事を。
俺は、黒田という男に少し嫉妬した。
326 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-20 15:00
凪は手帳を拾う。

真弓「あ」
凪「あ、これ」
真弓「…あの、私があなたにこれを預けたのかしら」
凪「は?」
真弓「ごめんなさいね」
凪「そこで拾っただけだよ」
真弓「そう、ありがとう。大切な物だから。あの、知り合いじゃないわよね」
凪「違うけど」
真弓「変な事聞いてごめんなさいね。お名前は」
凪「凪。霧間凪」

手帳に書き込む真弓。

真弓「今度また会っても同じ事聞くかも知れないけど、許してね。それでも声を掛けてくれると、嬉しいわ」
凪「あ、ちょっと」
真弓「…」
凪「その手帳は?」
真弓「これ?これは私の記憶」
凪「すいません。ちょっと聞きたいんだけど」

一朗:
看護婦の話では、その女性は妊娠中にかかった熱病で脳を損傷し、
数分以上前の記憶を持たなくなってしまったのだという。
つまり、彼女には今しかないのだ。
次々と現れては消える、今この瞬間しか。
327 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-20 15:03
純粋な知覚は過去を持たない
それが 純粋に生きるという事だ
霧間誠一
328 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-20 15:05
11月14日午後11時36分
329 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-20 15:09
一朗「最後まで一人で、戦うつもりかい?」
凪「…!」
一朗「…」
凪「…」
330 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-20 15:13
一朗「人が死ぬのが怖いのは、記憶が消える事への拒否反応じゃないだろうか」
凪「岸田さんは、死ぬのが怖いのかい?」
一朗「ああ。俺の中の君の記憶が大切だからね」
凪「ふっ」
331 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-20 15:19
凪「行き止まりか」
332 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-20 15:31
凪「!」
マンティコア・ファントム「凪」
凪「!」
マンティコア・ファントム「久しぶりだね。霧間先輩」
凪「早乙女君の口調を真似ても無駄だ。お前はマンティコアだ」
マンティコア・ファントム「お見通しと言う訳か。その通り。
光に吹き飛ばされた瞬間、街に広がった光に、意識を紛れさせて逃れたのさ」
凪「…っ」
マンティコア・ファントム「うわ、うう!」
凪「岸田さん、そこにいろ!」
マンティコア・ファントム「逃がさないよ、霧間凪。今度は確実に殺してやる!ぐわああ」

一朗は、少年少女を見る。
そしてブギーポップ・ファントムを。

一朗「お前は」
333 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-20 15:45
凪「終わりだよ。マンティコア」
マンティコア・ファントム「何!?」
凪「これから街の電磁場そのものを消磁する」
334 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-20 15:52
マンティコア・ファントム「!」
凪「バイ」
マンティコア・ファントム「やめろおお!うわああ!…」
凪「何!?」
マンティコア・ファントム「…!」
凪「…っ」
マンティコア・ファントム「こ、この口笛は…!あ、ああ…!」
335 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-20 16:11
凪「岸田さん!」
ブギーポップ・ファントム「君の電磁石は全部外させてもらったよ。
僕もそいつと同じようにこの街の電磁場として存在しているらしいのでね」
マンティコア・ファントム「お、お前らは一体」
ブギーポップ・ファントム「君は光となって散る時、僕のオリジナルの意識をスキャンしたようだね。
いわば死の瞬間に見た死神のトラウマ。それが僕のようだ」
一朗「死神?」
ブギーポップ・ファントム「だから君と僕は、同じ電磁場の量子振動を、意識の座として共有している」
凪「じゃあ申し訳ないが、一緒に消えてもらう」
ブギーポップ・ファントム「大丈夫だよ」
凪「何!?」
ブギーポップ・ファントム「放っておいてももうすぐ消える」
マンティコア・ファントム「何だと?」
ブギーポップ・ファントム「気付かなかったのかい。時間と共に電磁場が弱くなっているのを」
マンティコア・ファントム「あ」
ブギーポップ・ファントム「もってあと数日だよ」
マンティコア・ファントム「そんな…」

ブギーポップ・ファントムがマンティコア・ファントムの肉体を消滅させる。

マンティコア・ファントム「うわ、うわあああああ!!」

だがマンティコア・ファントムは一朗を乗っ取る。
336 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-20 16:18
凪「逃げたのか?」
ブギーポップ・ファントム「ああ。だけどもうあれには、世界の敵となるほどの力は残ってないよ。僕が保証する」
凪「だが、ここ数日行方不明になってる連中は」
ブギーポップ・ファントム「それは僕だよ。全部じゃないけどね」
凪「何故?」
ブギーポップ・ファントム「彼らを救う為」
一朗「信用していいよ。凪」
凪「岸田さん」
一朗「そいつの言ってることは、本当だよ」
凪「そうかい。行こう」
一朗「あ…ああ」
337 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-20 16:22
一朗「終わったな」
凪「一応ね」
一朗「俺は、明日東京に帰るよ」
凪「え」

突如始まるパレード。

プームプーム「皆、おいでよ」

真名花も一緒に歩いている。
338 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-20 16:27
一朗「何だったんだ、今のは」
凪「さあね。気にすることないよ」

一朗:
彼女はこれからも戦い続けるのだろう。
たった一人で。
誰の助けも借りずに。

凪「最後に一つ、お願いしてもいいかな」
一朗「何だい」
凪「眼鏡取ってみてくれないか?」
一朗「え」
凪「会えて良かったよ。ありがとう」
339 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-20 16:28
あなたが幻影でないと
どうして言える?
霧間誠一
340 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 14:35
病室で寝ている凪を見る慎平。
慎平は薬を取り出す。
真希子が廊下を歩いていると声が聞こえる。

真希子「誰かいるの?」

真希子が凪の病室に入ると窓は開いており誰もいなかった。
誰かに先生どうしました?と聞かれる。

真希子「いえ、何でも」
341 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 14:36
飛んでいく光の蝶。
342 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 14:39
プームプーム「可哀そうに。大人にならなくてもいい力の素質だったのに。
薬でそれを無くしたんだね。彼女は」

バイクで走り抜けていく凪。

真名花「かのじょは」
343 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 14:41
Vol 09
You'll never be young twice
344 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 14:42
過ぎ去りし我が時
345 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 14:43
SCENE 001
深陽学園 2年A組
吉沢早紀
346 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 14:55
亜梨沙「せんぱーい」
早紀「あ」
亜梨沙「ごめんなさい。遅くなっちゃって」
早紀「そんなに走ってこなくたっていいのに。ちゃんと寝れた?」
亜梨沙「うん、音大の教授にレッスン受けるの初めてでしょ。練習しようかなって楽譜見てたら寝ちゃった」

早紀:
この子が羨ましい。
まだ1年だから。気楽だから。
そうじゃない。
何でだろ。
347 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 15:03
亜梨沙「行きましょ」
早紀「うん。あ」
亜梨沙「バッハのエチュード、あるんですか?着メロに」
早紀「入れたのよ、私が。来年の課題曲だしね。もしもし。お父さん。
大丈夫って。さっき家出たばっかりでしょ。うん、分かってる」
亜梨沙「やっぱ違うな。きっとストレートで音大受かるのって先輩みたいな人なんだろうな」
早紀「え、何?」
良樹『おいでよ』
早紀「もしもし…?」
良樹『おいで。おいで』
早紀「…」
348 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 15:10
教授の前でピアノを弾く亜里沙。

早紀:
いいのよ、人の事なんか。
私、自分の為に。
349 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 15:14
早紀の父「頑張れよ、早紀。先生にまた来いって言われたら、はいって言うんだぞ。
お金の事は心配しなくていいから」
早紀「ありがとう。じゃあ、行ってくるね」

早紀:
あんなに車が好きだった父が、いつの間にか買い替えるのをやめていた。
私を東京の音大に行かせる為に。
350 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 15:15
ピアノを弾き終わる早紀。

教授「2年生か。まだ間に合うわね」
早紀「え」
351 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 15:18
亜里沙「ああ、もう!何であんなボロクソに言われなきゃいけないの?なんかもう行くの超めんどい。
先輩、今度も同じ日に行こう」
早紀「うん、そうね」
352 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 15:28
亜里沙「うわあ、何この家。お化け屋敷みたい」
早紀「少し前までお婆さんが一人で住んでて、でもこないだ亡くなって近々取り壊すみたい」

その家から出てくる真弓達。

早紀「あの、ご無沙汰してます」
真弓「どちらさま?」
早紀「裏の吉沢ですけど」
真弓「…早紀ちゃん!まあ、すっかり大きくなって。懐かしいわ。
早紀ちゃんのピアノ、聞こえてくるのが楽しみでね。ほんと天才少女だって皆で言ってたわ」
婦長「如月さん」
真弓「あ、はい」

亜里沙『記憶喪失?』
早紀『でも単純な記憶喪失じゃないの。その病気になる前の事と、数分前の事は覚えてるんだって』
亜里沙『へえ』
353 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 15:31
亜里沙「ここですか?先輩ん家」
早紀「先輩?」

(早紀の父「上手いぞ、早紀。将来ピアニストだな」)
(早紀「ほんと?」)

早紀「やっぱ、茶店でも行こうか」
354 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 15:40
早紀「亜里沙ちゃんの手って大きいよね」
亜里沙「えー、気にしてるんですから。グローブみたいって言われるし」
早紀「でも、小さいよりは有利よね。ピアノやるんなら」
亜里沙「…」

早紀:
昔は小っちゃくて可愛いって言われたけど、私は大きくなりたかった。
でも、もう大きくなんない。
355 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 15:47
亜里沙「そういえば先輩。ブギーポップの噂知ってます?」
早紀「え」
亜里沙「ほら、最近いなくなった人。全部ブギーポップっていう死神に連れて行かれたって」
早紀「私も、連れて行かれたい」
356 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 15:52
灰皿を使って何か紙のようなものを燃やしている男子高校生。

亜里沙「何やってんでしょうね」
早紀「多分、嫌な記憶を消してるんだ」
亜里沙「え」
早紀「嫌な事があったら、紙に書いて燃やすと、その記憶を消せる人。なんかの本で読んだ事がある」
亜里沙「そうなんですか?」
早紀「私も消したい。今日の事」
357 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 15:55
教授「2年生か。まだ間に合うわね」
早紀「え」
教授「ピアノは趣味に変えて、音大の受験は諦める事ね」
早紀「え…」
教授「進路を変更。あなたはもうこれ以上伸びません」
早紀「…!」
358 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 16:04
バッハのエチュードの着メロが鳴る。

亜里沙「…」
早紀「いらない、こんな曲。もう私には関係ないのよ」
良樹『おいで』
早紀「え」
良樹『楽しいとこあるよ。一緒に遊ぼ。何もかも忘れて』
早紀「何もかも…」

立ち上がり店から出て行ってしまう早紀。

亜里沙「先輩!」
359 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 16:12
早紀がペイズリーパークに着くと、それを見て子供達は笑っていた。

早紀「え」

プームプームが早紀に風船を渡す。

プームプーム「友達になろう」
早紀「あ…」
早紀ファントム「わあ、サンキュ」
プームプーム「もう君も友達さ。さあ、一緒に行こう」
子供達「わーい、早く早く」
子供達「もう急いで」
子供達「一緒に行こう」
早紀「えへ、もーらった。うふ。うふふふ。あはは、あはは、あははは。あは」
360 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 16:21
早紀の父「早紀、疲れたろ。で、どうだった?今日は」
早紀の母「で、今度いつ来いって?月謝の話とかしたんでしょ」
早紀「しなかった」
早紀の父「本当にいいんだぞ。お金の事は。お前が4年間大学に行く費用はちゃんと取ってあるからな」

プームプームや子供達にピアノを褒められる早紀ファントム。

早紀「えへ」
早紀の父「なんだ、早紀。思い出し笑いなんかして」
早紀「いっただきまーす」

上手く箸が使えない早紀。

早紀「あれ?あ、あれ?よいしょ。お、お…」
早紀の父「早紀」
早紀「やっぱ食べづらーい。風船おいてくるー」
早紀の父「…」
361 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 16:26
早紀「うわあ、すごーい」

自分のピアノの大きさに驚く早紀。

早紀「うわあ、へえ。うふ」

鍵盤蓋を開けた瞬間、早紀から笑みが消える。
362 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 16:29
早紀の父「おい、早紀」

早紀の父が早紀の部屋をノックして開け電気を付けると、早紀はピアノの前で自殺をしていた。

早紀の父「あ、ああ…。早紀!」
363 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 16:32
SCENE 002
深陽学園 2年C組
小島 茜
364 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 16:36
茜「おはよう。藤花」
藤花「あ、おはよう」
365 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 16:37
藤花「何か、どんどん変わってくね」
茜「何が?」
藤花「街の風景」
茜「ああ、そういうもんだよ。大人になるってのは」
366 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-21 16:45
女教師「あなた、志望は文系のようだけど、数学が一番安定してるわね」
茜「…」
女教師「理系にした方がいいわよ」
茜「え…」
女教師「うん、そうしましょ」


茜:
人は皆、大切なものを切り捨てながら、大人になって生きていく。
そして、現実との折り合いをつけながら、それを自分らしい生き方だと言い聞かせながら。
世の中そんなもんだ。
そう彼女は考えていた。
少なくとも、ある男の子と出会うまでは。
367 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-22 14:53
茜「風船?」
友人A「夜のペイズリーパークに行くともらえるんだって」
藤花「そこってつくってる途中でほったらかしになってるあれでしょ。何でそんな所でもらえる訳?」
友人A「なんかね、選ばれた人だけもらえるんだって」
友人B「でもさ。行ったら行ったで、例の死神みたいにどっか連れてかれちゃうんじゃない?」

茜:
現実逃避が生み出した都市伝説。
皆、ここではないどこかへ連れてってもらいたがっている。
368 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-22 14:59
茜「その店超可愛くってさ。あ」

早紀が風船を持って走り去っていく。

早紀「えへへ、えへへ。えへへ、あはは。あは、あはは。うふ、うふふ。うふ」
茜「ふふ、見た?今のなんだかだよね」
藤花「今のって?」
茜「え?だから、風船。ほら。あ…いいよ、何でもない。行こ」
藤花「宮下藤花には、風船は見えなかったようだね」
茜「え」
369 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-22 15:05
茜ファントム:
プームプームは、風船につかまって、空を飛びました。
空には鳥さんがいました。トンボさんも、チョウチョさんも。

茜:
その日私は、夢を捨てた。
子供の頃からの童話作家になりたいという夢を。

話が書いてあるノートを燃やしながら茜はつぶやく。

茜「ま、こんなもんでしょ」
370 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-22 15:09
茜「今更童話っていうのもなんだかじゃん。来年受験だし。それよりそっちはどうなの?もしもし?」
良樹『おいで』
茜「誰?」
良樹『一緒に遊ぼ』
茜「え」
良樹・良樹ファントム「いっしょに」

夜のペイズリーパークに行き、プームプームと出会う茜。
371 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-22 15:11
SCENE 003
聖谷高校 1年4組
田畑良樹
372 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-22 15:18
隆「おっせーぞ。良樹」
良樹「ごめん。すごい店混んでてさ。チーズバーガー誰だっけ」
誠一「わりい。金今度でいいよな」
隆「おい、来てるぞ。あの子」
良樹「え」
隆「とぼけんなよ。お前あの子タイプだっつうからセッティングしてやったんだぜ」
良樹「だけど、俺」
隆「ああいうミニ履いてる子はな、足に自信があんだよ。だからこう言え。足綺麗だねって。ほら、行けよ」
良樹「…」
373 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-22 15:23
良樹「あ、あのさ」
女の子A「ん?」
良樹「あ、足綺麗だよ」
女の子A「はあ?」
良樹「すごく綺麗だよ」

女の子からジュースを頭からかけられる良樹。

良樹「え」
女の子A「あっぶねー奴」
誠一・隆「くくく」
良樹「…」
374 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-22 15:30
良樹「だから無理だったんだよ」
隆「ま、色々あるさ。気にすんな」
誠一「お、これ良いんだよな。ゲームとかさ、オプション一番良いんだって。
なあ、良樹。お前買うよな」
良樹「いいよ。ケータイなんか」
誠一「そう言わずにさ。俺全部セッティングしてやるから。すいまっせーん」
良樹「マジ?」
誠一「明日返すからさ」
良樹「…」
誠一「なあ、仲間じゃないの?」

お金を取り出す良樹。
375 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-22 15:39
良樹「げ、こんなにゲームしやがった。誠一の奴、結局自分が遊びたかっただけじゃん」

良樹がケータイをホルダーに戻すと、何かケータイから音が聞こえる。
再びケータイを取ったその時、良樹は光の柱を目撃するのだった。

良樹「え…あ!」

良樹:
ちょうどあの日からだった。
俺の体に、変化が起きたのは。
376 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-22 15:54
隆「誠一、合コン話どうなった?」
誠一「しっかりアポ取ってますって。5人対5人だけどね。面子どうする?」
隆「んー、任せるよ」
(誠一の心の声「えーと、隆に俺。茂に潤。で、達也か」)
良樹「え、俺は?」
誠一・隆・茂・潤「あ?」
誠一「な、何だよ。何にも言ってねえよ、俺」
良樹「え」
隆「おいおい」
茂「やべー、やられた!」
誠一「なあ、次俺な」
(誠一の心の声「ま、良樹みたいなダセえ奴呼ぶわけねえしな」)
良樹「…」
(隆の心の声「こいつもしかして俺らがからかってんのに気付いてねえんだ」)
(茂の心の声「明日二限目ふけるからここ空けとけよ」)
(潤の心の声「溜まり場としては最高だよな。学校から近いし、親は共働き」)
良樹「…!」
(潤の心の声「ま、そうでもなきゃこんな奴相手にしねえっつうの」)
良樹「(ど、どういう事だよ)」
377 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-22 15:58
良樹:
普通、こういう能力は便利なのかも知れないけど、
俺の場合は…。

(誠一の心の声「うっとうしい奴。中学が同じだからって着いてくんなよ。
あん時よりマシだろ。誰も殴りもしねえしさ」)
良樹「…」
378 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-22 16:01
誠一「あの、何すか」
久志「虫」
誠一「は?」
379 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-22 16:06
良樹「ん?」
久志「ふ、ふふ。ふふふ」
(誠一の心の声「「悪い、良樹」)
良樹「?」
(誠一の心の声「お前が中学でいじめられてた事言ったの俺だよ」)
良樹「え」
(誠一の心の声「だってそうしないと、俺がいじめられそうだったし」)
良樹「…」
380 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-22 16:10
良樹:
俺、いつになったら本当の友達とめぐり会えるんだろう。

その時、光の蝶が飛んでくる。

子供達「はははは」
良樹ファントム「おいで」
良樹「え」

真名花が光の蝶を持って笑っている。
381 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-22 16:15
良樹:
こんな奴、世界中で俺一人じゃねえか?

真名花の姿を思い出す良樹。

良樹「ふふ、名前分かんないや」
382 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-22 16:19
良樹「いる訳ないか」
女子A「ねえ、教えてよ。どこに行けば会えるわけ?子供の頃の自分に」
女子B「教えなーい」
(女子Bの心の声「夜のペイズリーパーク」)
良樹「…」
383 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-22 16:28
良樹が夜のペイズリーパークに向かうと、そこには真名花が立っていた。

良樹「あ」
真名花「あは、は」
良樹「君、名前は」
真名花「きみ、なまえは」
良樹「俺は良樹」
真名花「おれは、よしき」
良樹「は?」
プームプーム「名前なんか別にいいじゃん。ここは学校じゃない」
良樹「き、君は?」
プームプーム「君の仲間かもね」
良樹「仲間?」
プームプーム「友達になろう」

良樹がプームプームから風船を受け取る。

良樹ファントム「わあ、ありがとう」
女の子ファントム「行こう」
子供達「行こう行こう」
子供達「遊ぼう」
子供達「早く。置いてっちゃうよ」
プームプーム「仲間は多い方が楽しい。集めてくれるね」
良樹「あはははは。わかった。任せとけって」
384 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-22 16:31
良樹『おいで。皆おいでよ。皆仲間になろうよ。
おいでよ。楽しい所。一緒に遊ぼ。僕の…』
385 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-22 16:35
良樹「友達!
もしもし?良樹。あ、名前はいいや。一緒に…」
ブギーポップ・ファントム「そんなことで、貴重な電磁波を無駄にしないでもらえるかな」
良樹「え」
ブギーポップ・ファントム「僕を支える場の力がどうやら尽きようとしている。
僕が救えるのも、君が最後のようだ」
良樹「え…え…!」
386 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-22 16:39
良樹ファントム「…!」
プームプーム「気にすることないよ」
良樹ファントム「え」
プームプーム「僕らはここで永遠に遊んでいればいいんだから」
真名花「あそんでいればいい」
良樹ファントム「…うん!」
387 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 14:49
茜:
僕はプームプーム。
天国からやってきた幸せの妖精。
僕の仕事は、皆に幸せの風船を分けてあげること。
こうして世界中を旅してるんだ。
世界には色んな国がある。
色んな冒険が待ってる。
さあ、君も一緒に…

話が書いてあるノートを燃やしながら茜はつぶやく。

茜「こんなもんでしょ」
388 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 14:51
Vol 10
Poom Poom
プームプーム
389 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 14:59
プームプーム:
彼女が僕を、暗い淵の底から救い出してくれた。
390 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 15:00
SCENE 001
県立総合病院
391 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 15:04
プームプーム「…」

走り出す鎮。

小夜子「お兄ちゃん!」
プームプーム「…」

光の蝶と戯れている真名花。

プームプーム「過去を運ぶ虫か。面白いな」
真名花「おもしろいな」
プームプーム「さあ、おいで。僕らは友達になれるよ」
真名花「と、も、だ、ち」
392 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 15:05
SCENE 002
ペイズリーパーク
393 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 15:08
プームプーム「ご覧。ここが僕らの国だよ」
真名花「くに」
プームプーム「ここを友達でいっぱいにするんだ。僕らの友達でさ」
真名花「ともだち」
394 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 15:17
観覧車に電気が付く。
その上から大量に光の蝶を飛ばす真名花。

プームプーム「そう、友達を集めるんだ」
395 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 15:21
プームプーム:
皆まだ、暗い淵の底で息を潜めてじっと待ってる。
大人が置き去りにしていったものたち。
大人になる為に、切り捨てられた大切なものたち。
それが、僕の友達。
396 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 15:23
プームプーム『おいで』
プームプーム『おいで』
プームプーム『おいでよ』
プームプーム『おいでよ』
プームプーム『一緒に遊ぼう』
397 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 15:35
夜のペイズリーパークに行き、プームプームと出会う茜。

プームプーム「可哀そうに」
茜「え」
プームプーム「はい」

そして風船を受け取る。

茜「…あ!」
茜ファントム「どうして私が可哀そうなの?」
プームプーム「僕らは、知らないうちに置き去りにされる。
でも、この人は君をわざと置き去りにしたんだ」
茜「あ」
プームプーム「行こ」
茜ファントム「うん」

茜は涙を流す。

茜「ごめんなさい…」
398 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 15:40
SCENE 003
深陽学園
399 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 15:49
教師「どうした、小島」
茜「ごめんなさい。だって…だってしょうがなかったんだもん。許して。う、うう、うう…」
教師「しっかりしろ、小島。どうしたんだ」
茜「う…うう…はははは。はははは。はは。はははははは。はははは。ははは。はははは。ははは」

プームプーム:
今更遅いんじゃないかな。
大切なものを無くした事に気付いても、僕らを置き去りにしたのは君達自身なんだからさ。
400 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 15:54
周囲に火が点く。

康「ははは、は、はは。消えねえよ。消えねえよ。何を燃やせばいいんだよ!」
401 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 15:56
プームプーム:
人間って、不思議だよね。
それが抜け殻になる事だとも知らずに、嬉しそうに大人になっていくんだから。
402 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 16:09
光の蝶々と戯れる真名花とそれを見守る子供達。

茜ファントム「あの人が、あなたを助けてくれたの?」
プームプーム「だから、彼女は僕の一番の友達なんだ。
あの子達も、不思議な力を持っているんだよ。彼女みたいに」
茜ファントム「不思議な力?」
プームプーム「軋みが生んだ力。抜け殻になる前の朽ちていく前の叫びみたいなものが、
そのまま彼らの能力になったんだ」
茜ファントム「ふーん。あなたまだ名前ないんでしょ。名前付けてあげる。プームプーム」
プームプーム「プームプーム?」
茜ファントム「幸せの風船をくれたから」
プームプーム「プームプーム。いいね。じゃあ僕はプームプームだ」
茜ファントム「プームプームは天国から来たんだよ。風船にぶら下がって旅をするの。
お花の国や、お人形の国や、恐竜の国」
真名花「おはなのくに」

大量の光の蝶々と風船が飛んでいく。

プームプーム:
そう、皆僕の友達。
ここが僕らの国。
切り捨てられ、置き去りにされた僕らの。
ここが永遠の国なんだ。
403 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 16:12
早紀はピアノの前で自殺をしていた。

早紀の父「早紀!」
404 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 16:20
藤花「知ってる?茜。ほら、A組の吉沢早紀って子、こないだすれ違ったさ。
何か自殺しちゃったらしいよ。家で手首切ったんだって。何だか多いよね、最近そういうの」
茜「別にいいんじゃない?どうせ抜け殻の方でしょ?本物の早紀ちゃんは生きてる訳だしさ」
藤花「茜?」

風船を持った女子高生に手を振る茜。
405 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 16:23
茜ファントム「どうしたの?プームプーム」
プームプーム「誰か来る」
茜ファントム「友達?」
プームプーム「分からない。友達だとしたらとても素敵な友達。でもそうじゃないとしたら…」
406 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 16:29
バイクでペイズリーパークへと向かう凪。
407 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 16:34
真田ファントム「えーん。えーん…」
凪「こんな所で、どうしたんだい」

凪に火を放つ真田ファントム。

凪「ちっ」

子供達が現れ次々と火を放つ。

凪「く、くそ!」
真田ファントム「やっつけた。大人をやっつけたぞ」
早紀ファントム「康くんすごい」
408 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 16:36
プームプーム「やっぱり、君ほど素敵な友達は初めてだよ。
待ってて、きっと助け出してあげるから。暗い淵の底から」
茜ファントム「プームプーム、追いかけようよ。大人をやっつけよう」
プームプーム「それより友達を集めよう。もっと沢山の友達をさ」
茜ファントム「うん!」
409 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 16:40
藤花「茜、やっぱり変だよ。この頃なんだかさ」
茜「藤花、ちょっと付き合ってくんないかな」
藤花「え」
茜「会わせたい子がいるんだ」
410 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 16:43
藤花「ねえ、茜。茜ってば!」
茜「その子ね、友達を欲しがってるんだ。一人でも沢山の友達を。
ねえ、藤花。もし大切なものを無くして、でももう一度それを取り戻せるとしたらどうする?…藤花?」
411 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 16:55
鏡の家を入り込んだ凪はそこの鏡を割り、ふと誰かの気配に気づく。

プームプーム「さっきはごめんね」
真名花「ごめんね」
凪「お前は何だ」
プームプーム「さあ、おいで。僕らは友達になれるよ」
凪「お前もマンティコアの同類か?」
プームプーム「何を言ってるの。僕は塊だよ」
凪「塊?」
プームプーム「大人が切り捨てたもの。いつの間にか置き去りにされた大切なものの塊さ。
そのくらい君はとっくに知っていったはずだ。だからここへ来たんだろ?
感じたよ。君が誰よりも僕らの仲間になりたがっている事。さあ」
凪「何を言ってる。誰に向かって話してるんだ」
プームプーム「君だよ」
真名花「きみだよ」

光の蝶を飛ばす真名花。

凪「う…」
412 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 17:06
死んでいる誠一に向かってお父さんと叫ぶ幼い凪。
入院中の慎平会話。
お見舞いに来てくれた友人との思い出。
世界の敵と戦う凪。

プームプーム「どうしてそんなに、自分は一人だって思い込もうとしているの?
どうしてそんなに苦しみを封印しようとしているの?
強がらなくていい。もう、苦しまなくていいんだ。さあ」

泣いてる幼い凪と目が合った凪は、もう一度鏡を割る。

プームプーム「大人め」

凪はたまらず鏡の家から飛び出す。

凪「…!」
子供達「見つけた」
早紀ファントム「大人がいたよ」
良樹ファントム「見つけたよ」
凪「冗談だろ」
413 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 17:07
死んでいる誠一に向かってお父さんと叫ぶ幼い凪。
入院中の慎平との会話。
お見舞いに来てくれた友人との思い出。
世界の敵と戦う凪。

プームプーム「どうしてそんなに、自分は一人だって思い込もうとしているの?
どうしてそんなに苦しみを封印しようとしているの?
強がらなくていい。もう、苦しまなくていいんだ。さあ」

泣いてる幼い凪と目が合った凪は、もう一度鏡を割る。

プームプーム「大人め」

凪はたまらず鏡の家から飛び出す。

凪「…!」
子供達「見つけた」
早紀ファントム「大人がいたよ」
良樹ファントム「見つけたよ」
凪「冗談だろ」
414 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 17:15
茜「知ってる。これ、知ってる。これ、私の世界。私が書いた世界だよ。
仲間に入れて。一緒に遊んで。ねえ、遊ぼう。一緒に。
いやあ!離して!離して!」

飛び降りようとした茜を、凪が助けるのだった。
茜ファントムを見て、自殺を思いとどまる茜。
口笛に導かれるように進んでいく子供達。

茜「待って!」
凪「こんな所に長居は無用だ!」
茜「いや!いやああああ!」
415 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 17:23
ブギーポップ「人知れず葬られたおとぎ話の世界。それも過去という訳かい?
他の波及が収束しつつある中で、君だけは進化を続けていたって訳だ」
真名花「あ…」
ブギーポップ「残念だが、君達の幻影に呼応するかのような友達は僕の中にはいない。
君達のいう大切なものなど持ち合わせていないんだ。何しろ、僕は受動的なんでね」
真名花「う…」

火をかわすブギーポップ。

真名花「ああ…う…」

真名花は観覧車から転落してしまう。

プームプーム「は…!」
416 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 17:35
プームプームが下に降りて見ると、そこには老けた真名花が横たわっていた。

ブギーポップ「もっと早く気づくべきだった。まさかあの事件が、
こんな形の波及を生むとは思ってもみなかったよ」
プームプーム「お前は何だ。彼女に何をしたんだ。どうして彼女をいじめるんだ」
ブギーポップ「彼女が世界の敵だから」
プームプーム「世界の敵?どうして」
ブギーポップ「君をつくった」
プームプーム「僕を?」
ブギーポップ「自分でも分かっているはずだよ」
プームプーム「僕はただ遊んでいただけだ。友達と遊んでいただけだよ。
どうしてそんな目で見るの。僕が何をしたっていうのさ。僕は…僕は…」
417 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 17:54
プームプーム「切り捨てられて、置き去りにされて、暗い淵の底でずっと独りで。
でも、でも彼女に助けられて。だから僕は他の皆を助け出して、そして一緒に」
ブギーポップ「いい加減、純粋を装うのはやめたらどうだい?」
プームプーム「え」
ブギーポップ「君は、自分が誰かに切り捨てられた過去だとでもいいたそうだが、
そうじゃない事は自分が一番よく知っているはずだ。
もちろん、置き去りにされたものの塊でもない。君は喪失の嘆きそのものだ」
プームプーム「違う!」
ブギーポップ「失ったものが全てだったと思わせる何か。
二度と手に入らないものに、もう一度手を伸ばせと命じる何か。それが君の正体だ」
プームプーム「違う!違うもん!」
ブギーポップ「君は存在そのものが幻惑だ。その、幻惑の先は」

早紀の自殺。
風船を手渡された者。
康「何だよ。これ燃やせば良かったんじゃんかよ」
418 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 18:09
ブギーポップ「とんだハーメルンの笛吹きだな、君は」
プームプーム「うるさい!僕は、僕と同じ友達が欲しかっただけだ!」
ブギーポップ「違うな。失われたものと、それを嘆くことは、子供と大人ほどに違う。
君は大人なんだよ。誰よりも。子供のふりをして友達を騙していた。君は本当に美しいものを侮辱していたんだ」
子供達「友達じゃなかったの?」
子供達「違うんだ」
子供達「友達じゃなかったんだ」
子供達「嘘つき」
子供達「嘘つき」

消えていく子供達。
419 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 18:21
プームプーム「現在を正当化するために、過去を否定するのが人間の常だ。
でも、今まで人間の現在が正当化に値した事があったと思うかい?」
ブギーポップ「…」
プームプーム「いつだって異形呼ばわりされてきたのは、僕らの方だった。
現在という歪な秩序を守る、ただそれだけの為に、僕らは異形なるもの、
いまだ人間ならざるものとして、否定され、強制され、封印されてきた。
その蓄積の中で、僕だけは、本物の異形になっていたらしい。
でも、これだけは分かってほしい。目的は復讐じゃなかった。
僕にはもう分からない。生まれたこと自体、悪だったんだろうか」
ブギーポップ「波及なんだよ。君も彼女も」
真名花「あ、あ、あ、あの…」
ブギーポップ「君らはお互いを犠牲にしあっていた。彼女の能力がはからずも君を生み、
そして、君は彼女を消耗させ続けた。もうすぐ彼女は死ぬ」
プームプーム「ごめんね」

消えるプームプーム。

真名花「あ…」

そして降り出す雨。
420 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 18:27
茜:
僕は消える。
消えてなくなる。
でももしかしたら、いつかまたどこかに現れるかも知れない。
その時は…君の友達は僕と遊んじゃ駄目だよ。
421 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 18:34
茜「ん」
藤花「あ、何これ、茜。プームプーム?へえ、小説?」
茜「ちょっとやめてよ。やめてったら」
藤花「いいじゃん、減るもんじゃないし。友達でしょ。見してよ」
茜「やだー」
藤花「見してってば」
茜「返してよー」
422 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 18:35
消える光の蝶。
423 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-23 18:36
雨が降りしきる中、真名花とブギーポップが対峙する。

真名花「死神…私を殺しにきたのね…」
ブギーポップ「…」
424 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 14:34
康子「望都!置いてっちゃうぞ!」

皆が歩いていく中、一人うずくまる望都。

康子「望都」
望都「きゃあ!」
男子達「何」
理恵「ほっときゃいいのに。あんな奴」
康子「ちょっと皆、来てよ!」
男子達「お、おう」
理恵「もう」
425 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 14:36
聖谷高校 1年2組
高井理恵
426 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 14:41
理恵が帰宅すると部屋が発光する。
気付かず自分の部屋に入った理恵は、笑いを抑える事が出来なかった。
それは嗚咽に変わり、引き出しを開け、カッターナイフを取り出す。
リストカットしようとする理恵。

理恵「何で生きてんだろう、毎日」

光の蝶が真名花とブギーポップの元へ飛んでいく。
427 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 14:43
Vol 11
Under The Gravity's Rainbow
428 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 14:44
429 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 14:45
私はどうして生きているのだろう
430 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 14:46
望都:
どうせ、死ぬのに。
431 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 14:49
光の蝶を見て手をかざしている真名花。

真名花:
どうして?
すぐに死んでしまうのに。
すぐに消えてしまうのに。
432 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 14:51
SCENE 001
5年前
433 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 14:57
真名花:
私、どうして生きてるの?
たったの5ヶ月。
月に満たず、産まれたくもないのに。
5年前、父親知らずの罪を背負った。

美代「悪魔よ。悪魔の子に違いない!」

飛んでいく光の蝶。
434 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 15:00
SCENE 002
3年前
435 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 15:08
真名花:
忌まわしい悪魔の子。
それはすぐに分かった事。
一人だけ、たった2年で。
化け物。
他の子は見た事無いけど。

美代「真名花!」
真名花「いや!」
美代「誰かに見られたらどうするの!」

真名花:
だって一度も家から出られずに、たった一人。
ううん、この人と二人。
一体誰?
お母さん?

真名花「わーん!わーん、わーん…」
美代「お前はずーっとお婆ちゃまと一緒にいればいんだよ。お母さまみたいな目に遭わないようにね」
436 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 15:13
SCENE 003
5年前
437 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 15:21
真名花:
騙されて、きっと捨てられて。
それでも愛してる。
それでも信じてる。
誰を?

美代「悪魔よ!父親は悪魔なんだわ!」

真名花:
一人で産んで、私を産んで、
痛みの中で熱にうなされ、気が付いたら、全てが消えてた。

真弓「お母さん?」
美代「ん」
真弓「何これ?」
美代「…」
真弓「…」

真名花:
それ以来、別れたきり。
何故って?
会っても、あの人には分からないから。
産んだ事さえ、覚えてないのだもの。

飛んでいく光の蝶。
438 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 15:22
SCENE 004
1年前
439 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 15:32
真名花:
光の蝶。
こうして私は、世界を知った。
私にとって、世界はこのように、過去が幾重にも折り重なって揺れている、歪んだ虹。
秩序と無秩序が交差する狭間で、悲しみも、痛みも、望みも、喜びも、切なさも、孤独も、
夢も、微笑みも、叫びも、全てを飲み込んで揺れている、虹。

美代「ほら真名花、新しいお洋服だよ。お前はすぐ大きくなるからね。ん?何を見てるんだい?」
真名花(小学生姿)「お母さん。ほら」

何もない手を差し出す真名花。

真名花(小学生姿)「ふふふふ」

飛んでいく光の蝶。
440 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 15:39
SCENE 005
一ヶ月前
441 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 15:41
真名花:
そして5年。
光がのぼる直前に、唐突に死が訪れた。
442 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 15:45
美代「真名花、ごめんね」

美代が真名花の首を紐で絞め殺す。

真名花「あ、う…あ、あ、う…」
美代「お前一人をこの世に残していけないの。お婆ちゃまもすぐに行くからね」

真名花:
奇妙な感覚。
暑さと寒さが、同時に訪れた。
訳も分からず、唐突に、私は殺された。
443 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 15:46
光の柱がのぼる。
444 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 15:47
殺したはずの真名花が生きてる事に、驚愕する美代。
445 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 15:48
SCENE 006
数日後
446 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 15:55
真名花:
光。
私は促進された。
ただでさえ生き急がされてきたのに、たった5年で、
こんな体に。こんなに大きく。

美代と写真を撮る真名花。
447 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 15:56
美代「私がいなくなっても、お前が私の孫だと分かるようにね。それに思い出になるだろう」
真名花「そんなの、意味ないのに」

真名花:
それがわずか数日で、光は更に、私を進めた。
私は持て余す。
大人の体を。
448 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 15:57
SCENE 007
一ヶ月後
449 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 16:01
真名花:
それからしばらくして、祖母は死んだ。
あっけなく。
何の為に?
長生きしても、いつかはこうなるのに。
この人、何の為に生きてきたんだろう。

写真を本棚に入れる真名花。
450 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 16:05
真名花:
初めて見る外の世界。
沢山の過去が、私の中に入ってくる。
真綿が水を吸うように、私の中に。
私は世界を理解した。
世界を悟った。
高度な知性、全哲学を凌駕する。
言葉が溢れる。とめどなく。
宇宙の真相を。口から溢れて光になった。
でも、すぐに私はそれを封じた。
451 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 16:17
エコーズ「この異常に発達した知能の、文明への影響のため、
コミュニケーション能力の制御を加える。弁護行為の不可。
故に我を反響体、エコーズと名付ける」
真名花「反響言論。未来の言論。行為の不可」
452 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 16:19
真名花が道を歩いていると、倒れてしまう。
453 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 16:24
真名花:
もう一つ悟った事。
私の体も光になる。
光になってもうすぐ消える。
だって私は、彼だもの。
同じ進化の最終形態。
いつか皆私になる。
ただ早すぎただけ。
孤独に耐え。
だからもう一人。
私は生んだ。友達を。
その瞬間、光が脳裏にひらめいた。
私にも何かが出来る。

光の蝶を飛ばす真名花。

小夜子「お兄ちゃん!」
454 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 16:25
SCENE 008
ペイズリーパーク
455 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 16:29
真名花:
言葉でなく、過去を見せる事で、
見せてあげる事で、
こんな私が希望を持って、
それが産まれた意味だと信じて、
世界に関わることが。
なのに。
なのに。
死神はやってきた。
私を殺しに。
私の誤解を暴きに。
456 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 16:43
ブギーポップ「君が、世界の敵だ」
真名花「あ、う、あ、あ、ああ。あ。う、う、う、う、あ、う」

ブギーポップが世界の敵と戦ってきた過去を見る真名花。

真名花「し、に、が、み…私を、殺しに来たのね。わた、私、しに、死にたくない」

ブギーポップから逃げる真名花。
457 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 16:53
真名花「しに、死にたくない」

真名花:
私は、何故死にたくないんだろう。
生きていたって仕方ないのに。

その時、ブギーポップ・ファントムが現れる。

真名花「あ、あ、うう」
ブギーポップ・ファントム「君の力は人を過去に縛り付け前進する気を奪う。僕は君を遮断するしかない」
ブギーポップ「待ちたまえ。もはや彼女に、世界の敵となる力は残っていないよ」
真名花「あ、ああ、ああ、ああ!」
ブギーポップ「世界の危機を追って来たら、妙なものに遭遇したね。君は僕の敵なのかい?」
ブギーポップ・ファントム「やっと会えたね。待っていたよ。君を」
458 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 16:58
真名花:
違う、違う。
私は光になるの。
あの人のように。
だって、あの人は、私だもの。
同じように光になって、空にのぼって。

真名花「あ…」

鏡の家に入り、自分の老けた姿に愕然とする真名花。
459 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 17:00
真名花:
宇宙を行くの。
それは死じゃない。
それは永遠。
だって同じ、宇宙意識。
私は光に。
あの人と同じに。
なのに死神は。
違う、違う。
誰の事を言ってるの。
460 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 17:15
ブギーポップ「ここかい?僕に見せたいというのは」
ブギーポップ・ファントム「彼らの進化は本来のものじゃない。今の時代にその力は、必ず弊害をもたらす」
ブギーポップ「その弊害が世界を飲み込もうとするなら、僕はそれを遮断するしかないよ」
ブギーポップ・ファントム「だから僕は彼らをここに」

真名花:
誰?
違う。私じゃない。
私は光に。
あの人と同じに。
永遠に、孤独からも、悲しみからも、解放されて、光に。
それは死じゃない。
それは永遠。
なれの果て。
それにすらなれない。
たったひとりで、孤独に死んでいく。
それが私の運命。

真名花の前に男が現れる。

真名花「あ、あなたは」

手を差し伸ばす男に真名花が触れると、大量の光の蝶が街中へと飛んでいった。
461 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 17:20
理恵が帰宅しても部屋は発光しなかった。
リストカットしようとする理恵を見つける理恵。

理恵「何で生きてんだろう、毎日」
462 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 17:27
久志の父についている虫を久志が喰らうのを目撃する久志の父。
森田(スネークアイ)に喰われそうになるのを目撃する山本巡査。
交換日記を持ってきた静枝を目撃する里香。
463 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 17:29
理恵「駄目!」

リストカットをもう一人の理恵が止める。

理恵「あ…あの時止めたのは、私だったんだ」
464 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 17:34
真弓「あ、あなたは?」
真名花「お母さん」
真弓「え」

真弓に過去を見せる真名花。

真弓「真名花…私の、娘」
真名花「お母さん」
真弓「待って」
真名花「お母さん、私ね」
真弓「行かないで」
真名花「産まれてきて、良かったよ」

光になってのぼっていく真名花。
465 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 17:35
ブギーポップ・ファントム「どうやら、僕の時間も終わりのようだ」
ブギーポップ「…」
466 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 17:37
SCENE 009
翌日
467 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 17:39
婦長「おはようございます。あ、真名花って誰です?」
真弓「え?昔、娘が産まれたらつけようって思ってた名前ですけど、それが何か」
468 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 17:40
そして 虹
469 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-24 17:43
理恵「ん」
康子「どした」
理恵「え、ううん。何か聞こえた気がしたから」
康子「ん?」
理恵「気のせいみたい」
康子「何か面白いことないかね」
理恵「楽しいじゃん。毎日」
康子「あんたはいいね。悩み事なくて」
理恵「ふふ、あ。虹」
康子「ほんとだ」

真名花「虹」
470 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 14:17
SCENE 001
東京 湯島
471 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 14:20
ホテルのフロントから電話が鳴る。
472 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 14:23
和子「はい、おはようございます。はい。
朝よ」
藤花「うん」

カーテンを開け、眼鏡をかける和子。
473 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 14:33
和子「ほら藤花。時間よ」
藤花「う、うーん、はあ、おはよう」
和子「よく眠れた?」
藤花「どうだろう。2時過ぎまで寝らんなかった」
和子「私も。緊張して4時くらいまで寝られなかったの」
藤花「うわあ、それじゃあ3時間ちょっとしか寝てないじゃない。大丈夫?」
和子「駄目かも知んない」
藤花「大丈夫だって、和子は。あ!それより私だ。判定Cだもんな」
和子「12月の模試は特に難しかったもん。それに、あれから藤花すごく頑張ってたじゃない。絶対大丈夫よ」
藤花「頑張ろうね」
藤花・和子「ふふふ、ふふ、ふふふ」
474 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 14:35
Vol 12
A Requiem
眠りによって全てが終わる
475 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 14:38
和子:
歪んだ虹が消えてから、1年以上が過ぎた。
私達は3年生になり、受験勉強に捧げた1年の、今日はその総決算。
476 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 14:51
単語帳を見ながら、和子と復習する藤花。

和子「Vacant」
藤花「空の」
和子「Skeptical」
藤花「懐疑的な」
和子「Reluctant」
藤花「えーと、あ、嫌々ながらだ」
和子「Intensive」
藤花「んー、あれ」

和子:
私達は二人は受験の為、
一日前から東京のビジネスホテルに泊まっていたのだ。
477 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 14:57
藤花「えーと、新御茶ノ水で降りて、丸ノ内線。ないよ」
和子「歩くんじゃない?御茶ノ水駅まで。改札、どうすんだろう」
藤花「東京の電車ってよく分かんない」
478 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 15:08
藤花「Ashamed」
和子「恥じて」
藤花「Perpetual」
和子「永久に。絶え間ない」
藤花「Possible」
和子「可能な」

和子:
彼女とは2年の時、予備校の冬期講習で知り合って以来になる。
クラスは違ったが、お互い気が合い、今ではすっかり親友同士だった。
479 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 15:12
御茶ノ水駅に着く二人。

女性A「ねえ、これ。この辺だっけ」
女性B「ていうか秋葉の方?伝染病とかだったら怖いよねー」
藤花「…」
和子「あっちだ。うわあ、遠回り」
480 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 15:14
藤花「え」
『4番線、発車致します。ドアが閉まりますからご注意ください』
和子「藤花、早く」
藤花「うわ、待って」
481 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 15:27
藤花「はあ」
和子「ねえ。何そんなにいっぱい持ってきたの?」
藤花「色々。着替えとか参考書とか」
和子「ん?」
藤花「ん」
482 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 15:28
和子「私はこっちね」
藤花「私は、あっちだ」
藤花・和子「頑張ろうね」
和子「じゃ」
藤花「うん」
483 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 15:29
和子「はぁ…」
484 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 15:30
試験管「はじめ!」
485 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 15:30
試験官「はじめ!」
486 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 15:30
試験官「そこまで!」
487 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 15:31
和子「ん…藤花?」
488 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 15:31
SCENE 002
御茶ノ水
489 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 15:40
一朗:
東京に戻って一年以上、俺はあの街で遭遇した事件に、
ある謎の組織が関わっている事を突きとめた。
そいつは知らないうちに、人間社会に溶け込んでいる。
ルポを発表するにも、慎重に相手を見極めなければならない。

編集長「昨日今日始めた新入りじゃないだろ!国へ帰れ!国へ!」
女性編集部員「う…うう…」
編集長「あれ、君東京だっけ」
女性編集部員「うう…」

一朗:
その為に出版社を渡り歩く毎日。
このルポが少しでも、霧間凪の役に立つと信じて。

編集部員「今は触らぬ神に祟りなしだね」
490 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 15:47
女性編集部員「もう、辞めようかな。あ」
一朗「うちの事務所に来ないか?相談に乗るよ」
女性編集部員「え…」
491 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 15:47
SCENE 003
秋葉原
492 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 15:51
女性編集部員「私、何でこんな所に」
一朗「…」

藤花がある場所へ向かう。

女性編集部員「ああ…!あ…」

女性を捕食しようとする一朗。
その時口笛が聞こえる。
493 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 16:01
ブギーポップ「なるほど。人に自分を委ねたいという心。
それをエネルギーに変えて、喰らう事で生き延びてきた訳だ」
一朗「何を言ってるんだ」
ブギーポップ「君を探すのに一年以上かかった。マンティコア」
一朗「マンティコア?」
ブギーポップ「正確には、君の中にいるマンティコアの残滓、とでも言うのかな。
本来あの街の電磁場が消えると共に消滅するはずだったそいつは、
過去を運ぶ少女を生み出した君に、上手く紛れ込んでここまで逃げてきた訳だ」
一朗「過去を運ぶ?生み出した?」
ブギーポップ「君とは、一度会っているね。探偵さん」
494 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 16:17
遺体からコートを羽織る藤花。

ブギーポップ「あの時僕は生まれたらしい。
心理学者なら死を目の当たりにしたトラウマと呼ぶんだろうね」
一朗「だが、それじゃあ俺の岸田という名は」
ブギーポップ「探偵さんなら、いくつかの偽名を使っていても不思議じゃないんじゃないのかい?」
一朗「は…凪の父親の事を調べる為に使った名前」
ブギーポップ「少女の能力は、その瞬間の君だけを蘇らせたという訳だ」
一朗「それじゃあ、俺がこれまで調べてきた組織の秘密も、実は黒田の記憶。
考えてみれば、一介のルポライターがそこまで連中に迫れる訳はないか」
ブギーポップ「これまで、自分は岸田だという思い込みが封じていた記憶が、蘇ってきたようだね」
一朗「彼女の進化を止める為、俺はワクチンを…」
495 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 16:19
凪にワクチンを投与しようとする慎平。

真希子「誰かいるの?」
496 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 16:23
一朗「そして、組織を裏切った俺は処理されたんだ」
497 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 16:23
藤花「何してるの?」
498 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 16:32
ブギーポップ「その薬が後で、別の怪物を生むことになった訳だが、そいつも僕が始末した」
一朗「うおお」
ブギーポップ「現れたね。マンティコア」
マンティコア・ファントム「追い詰めたつもりだろうがそうはいかない。ここには逃げ場が沢山あるのだよ。
ふっ、うう!」
一朗「こいつを殺せ!」
マンティコア・ファントム「ちくしょう!離せ!離せよ!」
一朗「俺がこいつを封じているうちに殺せ!」
ブギーポップ「そうするつもりだよ」
マンティコア・ファントム「!」
ブギーポップ「地下トンネルで拾ったものだよ。沢山あったので、下のジャンク屋に置いてきた」
マンティコア・ファントム「あ…」
499 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 16:36
一朗「凪は、凪は、知っていたんだろうか。俺が黒田だと。悲しむだろうなあ。
俺がこうなってしまった事を知ったら」
ブギーポップ「君の責任でもないさ」
マンティコア・ファントム「うわあ!ああ、ああ!」

マンティコア・ファントムが暴れ、一朗の眼鏡が外れる。

一朗「命とは不思議なものだな。俺もこいつも、これでも生きているつもりなのだから」
ブギーポップ「彼も同じ事を言ってたよ」
500 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 16:41
ブギーポップ・ファントム「彼らは眠っているんだよ。肉体は滅んでも、
こうして街全体を神経細胞が張り巡らされて、夢を見続ける。
早すぎた進化が、当たり前となる来るべき日までね」
501 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 16:46
一朗「だが、虚しいものだな。自分の存在を示す術を持たないとは。
こいつはだから人を、喰っていたのかな」
502 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 16:48
ブギーポップが電話を掛け磁場が消滅する。
マンティコア・ファントムを道連れにする形で一朗も消滅する。
503 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 16:50
女性編集部員「う…」
藤花「やれやれ。宮下藤花には、悪い事をしたな」
504 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 16:50
女性編集部員「う…」
ブギーポップ「やれやれ。宮下藤花には、悪い事をしたな」
505 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 16:53
藤花「お待たせ」
和子「どうだった?」
藤花「何か、全然出来た気しない」
和子「私も」
506 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 16:55
和子「そうだ。中休みどこ行ってたの?」
藤花「え、私も探したのに」
和子「そうだったんだ」
藤花・和子「ふふふ」
藤花「あ、ちょっと寄りたいとこあるんだけど、いい?」
507 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 16:57
藤花「お待たせ」
和子「何買ったの?」
藤花「テルミン」
和子「テルミン?」
508 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 16:59
和子「はい」
藤花「サンキュ。怖いね」
和子「何が?」
藤花「何だか、飲み込まれちゃいそう」
509 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 17:03
藤花「東京来ても、私達変わらないよね。ずっと友達だよね」
和子「うん」

和子:
きっとあなたは大丈夫。
私は、自信ない。
口に出せず、飲み込んだ言葉が胸に痛かった。
510 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 17:08
和子:
それから時は容赦なく流れ、
残りわずかの高校生活も、あっという間に過ぎ去っていく。
511 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 17:10
和子「はぁ…よし!
はい、末真です。あ、藤花。どうだった?そう。私?うん、ありがとう。うん」
512 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 17:13
『卒業されていく先輩の皆さま。
当たり前の事ですが、私達がこの学び舎、深陽学園に、
新1年生として入学した時、先輩の皆さんは2年生…』
513 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 17:20
実咲「ちゃんと撮ってよ」
京子「あ、末真ー!末真も入れ」
和子「待って。霧間さんも一緒に入ろ」
凪「え」
京子・実咲「げ」
凪「あ、ちょ、ちょっと」
514 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 17:24
和子「この辺も変わったね」
凪「ああ、もうすっかり埋まっちまったんだろうな」
和子「え」
515 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 17:25
地下トンネルでセットするブギーポップ。
516 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 17:27
凪「良かったのかい?あいつらと宴会行かなくて」
和子「そんな気分じゃないし」
凪「最後の日なのに?」
和子「最後だから、一緒にいたいんじゃない」
凪「…」
藤花「和子」
和子「あ、藤花」
藤花「あ」
和子「ふふ」
517 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 17:32
藤花「3年間、色んな事あったなあ」
和子「3年間、同じ時間を過ごして、でも、一人一人は全然別の、色んな違う経験をして」
凪「…」
藤花「…」
和子「え」
藤花「どうしたの?」
和子「ううん、何か音楽が聞こえたような気がしたから」
518 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 17:32
真弓「あ、この曲は?」
519 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 17:44
藤花「きっと、街の記憶が音楽を奏でているのよ」
和子「街の記憶?」
藤花「私達が過ごしたこの街の記憶達。何も表現手段を持たないのは辛いことだし、
誰にも聞いてもらえないのも悲しいことでしょ」
凪「あるかもね。そういうの」
茜「あ、いた。もう藤花!」
藤花「え」
茜「どこ行ってたの?皆もう集まってるよ」
藤花「ごめん。それじゃあ、私行くから」
凪「あ、宮下さん」
藤花「え」
凪「彼女に元気でなって」
茜「やーだー」
純子「でしょ」
茜・純子「ふふふふ」
凪「それじゃあ、私も行くよ」

和子:
いつか思い出すだろうか。
この感触を。
私達の高校生活が終わったこの瞬間の、
何かを無くして疼いているような、この胸の痛みを。
520 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-25 17:49
この地球のはしっこで見上げる太陽
沈まない 終わらない 落日の夢
地層には眠っている 歴史の絵巻
図鑑にも 載ってない 不思議な形態

未来世紀が近づいている
ふたりは何処へ行くんだ

細胞が 必ずきっと覚えてる
ときめきの メカニズム
ふたりの 距離を 縮めたい
待つだけの 為体 飛びこえたい夜
521 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-29 22:05
Abemaで明日からエヴァ放送

https://twitter.com/eva_information/status/989368616071020544
30〜4日にTVシリーズ全話
5〜6日に劇場版放送
522 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 14:53
孤独な都会は 涙の監獄なの
ハロー!(ジャングル)
夢を失くしたら
あなたも閉じ込められる
(ジャングル)

心に響く 遠いアフリカの歌
誰もが自由な
アニマル・カーニバル
喧嘩をしてた ヒョウとチンパンジーも手をつないで
今夜だけは 陽気にはしゃぐの

ジャングル・ダンス
あなたも誘いたい
ダンス & ダンス 不思議な夜へ
ジャングル・ダンス
ワニの尻尾つかみ
ダンス & ダンス
スカンクがジャンプする
523 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 15:03
大理石の 台の上で
天使の像 ささやいた
夜になると ここは冷える
君の服を かしてくれる?

タイムトラベルは楽し
メトロポリタン美術館
赤い靴下でよければ
かたっぽあげる
524 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 15:07
エジプトでは ファラオ眠る
石のふとんに くるまって
呼んでみても 五千年の
夢を今も 見続けてる

タイムトラベルは楽し
メトロポリタン美術館
目覚まし時計 ここに
かけておくから
525 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 15:10
バイオリンのケース
トランペットのケース
トランクがわりにして
出発だ!
526 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 15:12
タイムトラベルは楽し
メトロポリタン美術館
大好きな 絵の中に
とじこめられた
527 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 15:17
引き裂いた 闇が吠え 震える帝都に
愛の歌 高らかに 踊りでる戦士たち
心まで 鋼鉄に 武装する乙女
悪を蹴散らして 正義をしめすのだ

走れ 光速の 帝国華撃団
唸れ 衝撃の 帝国華撃団
528 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 15:21
「わたしたち 正義のために戦います。
たとえ それが命をかける戦いであっても
わたしたちは 一歩も引きません!
それが 帝国華撃団なのです!」
529 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 15:23
街の灯が 消え果てて 脅える帝都に
虹の色 染め上げて 踊りでる戦士たち
暁に激情を 照らし出す乙女
悪を滅ぼして 正義を示すのだ

走れ 光速の 帝国華撃団
唸れ 衝撃の 帝国華撃団
530 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 15:23
走れ 光速の 帝国華撃団
唸れ 衝撃の 帝国華撃団
531 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 15:27
コンピューターおばあちゃん
コンピューターおばあちゃん
ウォウウォウ ウォウウォウ ウォウォウォ
532 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 15:34
ぼくのおばあちゃんは
明治生まれのコンピューター
算数国語社会
何でもドンと来いさ

物知り博学
足腰カクシャク
元気にワンツースリー
英語もラクラク
義歯をカクカク
得意のABC

コンピューターおばあちゃん
コンピューターおばあちゃん
イェイイェイ ぼくは大好きさ
533 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 15:43
バミューダ海域
ハワイはワイキキ
世界をまたに
百聞一見 事件を発見
Let's go! おばあちゃん

コンピューターおばあちゃん
コンピューターおばあちゃん
イェイイェイ ぼくは大好きさ

コンピューターおばあちゃん
コンピューターおばあちゃん
イェイイェイ ぼくは大好きさ
534 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 16:44
スーパーマリオ
ももたろう編
535 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 16:48
<ナレーター>
小さな星に、おじいさんとおばあさんが、
ピーチ姫というそれはそれは美しい娘と、一緒に暮らしておりました。
536 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 17:06
ピーチ姫「おじいさん、おばあさん。お茶が入りましたよ」
おじいさん「ああ、いつもすまないね。ピーチ姫」

<ナレーター>
おじいさんとおばあさんは、美しいピーチ姫を大切に思い、
大事に大事にしていました。
ピーチ姫もおじいさんおばあさんが大好きだったので、
3人はとても幸せに暮らしていたのです。
537 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 17:07
<ナレーター>
ところがおじいさん達の幸せな暮らしも、そう長く続きませんでした。
と言うのも、欲張りな鬼の王様クッパ大王が、手下のコクッパ達を使って、
星々の人々から美しいものや大切な宝物を奪い荒らしまわっていたのです。
そしてついに、ピーチ姫の美しさを聞きつけ、おじいさんの家へやってきたのです。
538 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 17:13
おじいさん「ああ」
クッパ大王「行けー」
コクッパ達「おー!」
ピーチ姫「あ…」

<ナレーター>
ピーチ姫の姿を見た一目見たクッパ大王は、
あまりの美しさにお嫁さんにしたくなりました。
539 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 17:28
ピーチ姫「ああ、ああ…」
クッパ大王「おお…美しい。ぼくちゃんのお嫁さんにぴったしよん。
よーし、ピーチ姫を連れて行け!」
コクッパ達「おー!わっせわっせ!」
ピーチ姫「おじいさん、おばあさん、助けて!」
おじいさん「姫!」
おばあさん「ピーチ姫…」
クッパ大王「へへへへ。ん?」
おじいさん「な、何でも差し上げますから。ピーチ姫だけは返してください」
クッパ大王「何でも差し上げます?ピーチ姫を返せ、だと?」
おじいさん「お願いでございます。ピーチ姫をお返しください」
クッパ大王「えーい、離せ」
おじいさん「大王さま、お願いでございます。ピーチ姫だけは」
クッパ大王「ぼくちゃんのお嫁さんにするんだもんね。でへへへへへへ」
おじいさん「姫。ピーチ姫」
ピーチ姫「きゃー、おじいさん。おばあさん」
クッパ大王「引き上げるぞ!」
コクッパ達「おー!」
おばあさん「ピーチ姫」
おじいさん「うう…」
クッパ大王「へへへへへへへへへへへへ」
540 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 17:36
<ナレーター>
おじいさんとおばあさんは、
鬼のクッパ大王に連れて行かれたピーチ姫が心配で心配でたまりません。

おじいさん「うう、姫…」
おばあさん「ご無事でありますように」
541 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 17:42
ピーチ姫「うう、おじいさん。おばあさん」

<ナレーター>
クッパ大王のお嫁さんになることを断ったピーチ姫は、
冷たい牢に入れられてしまったのです。
ピーチ姫がいなくなったおじいさんとおばあさんは何も手につかず、
来る日も来る日もピーチ姫のことばかり思い出しては、泣き暮らしていました。
542 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 17:47
コクッパ達「へへへへへ、行け行けー!」
クッパ大王「引き揚げだー!」

<ナレーター>
相変わらずクッパ大王は、手下の鬼たちを連れて、
宇宙の星々の宝物を奪い荒らしまわっていました。
543 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 17:54
クッパ大王「へへへへへへへ。へへへへへへへへ。へへへへへへ。へへへへへへへへ」
544 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 17:59
<ナレーター>
ある日のことです。
その夜もピーチ姫を思い出し、
夜空を見上げて悲しんでいたおじいさんとおばあさんの前に、
光の玉が落ちてきました。

おじいさん「ば、ばあさんや」
おばあさん「じいさんや」
おじいさん「うぅ」
545 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 18:05
<ナレーター>
見ると、それはそれは大きな桃が落ちているではありませんか。

おじいさん「こ、これは驚いた。ばあさんや、この桃動かなかったかい?」
おばあさん「そういえば動いたような」
546 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 18:11
<ナレーター>
動いたばかりではありません。
桃がぱっくり二つに割れたかと思ったら、
ひげを生やした元気のいい男の赤ちゃんが飛び出しました。

おばあさん「あらー」
おじいさん「大きな桃が降ってきたかと思ったら、中から男の子が」
547 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 18:15
おばあさん「これも何かの授かりものじゃ。大切に育てましょう」

<ナレーター>
それからというもの、おじいさんとおばあさんは、
赤ちゃんを連れ帰り、マリオと名付けて育てることにしました。
赤ちゃんはすくすく育ち、その早い成長ぶりに驚いたり喜んだり。
立派な男の子になりました。
548 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 18:29
おばあさん「立派に育ってくれましたね、じいさんや」
おじいさん「ああ」
おばあさん「それにしてもこんな時ピーチ姫が」
おじいさん「やめなさい。ばあさんや、思い出しても今の私たちの力ではどうしようもないんじゃ」
マリオ「よかったら聞かせてください、おじいさん。
おばあさん、ピーチ姫がどうとか、何の事ですか?ぼくに話してください」

<ナレーター>
おばあさんはマリオに一部始終を話しました。
549 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 18:40
ピーチ姫「ふふふふふ、ふふふ、ふふふふ」
おばあさん「あはははは」
おじいさん「いやいやいや、ふふ」
コクッパ達「ははは、行け行けー!」
クッパ大王「それ行けー!へへへへへへへへ。よーし、ピーチ姫を連れて行け!」
コクッパ達「おー!わっせ!わっせ!わっせ!わっせ!わっせ!」
ピーチ姫「おじいさん、おばあさん、助けてー!」
クッパ大王「引き揚げるぞー!」
コクッパ達「おー!」
550 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 18:48
マリオ「そうだったんですか。よーし、そのクッパ大王とやらをやっつけ、ピーチ姫を助け出してやる!」
おじいさん「マリオ。お前の気持ちはありがたいが、クッパ大王には手下が大勢いるし、
敵う相手ではない。お前を危険な目に遭わせたくないんじゃよ」
マリオ「大丈夫です。ぼくに任せてください。きっとピーチ姫を助け出してきます」
おばあさん「マリオ」
マリオ「おばあさん、心配ありません。ピーチ姫を助けてきますからね」
551 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 18:53
ピーチ姫「おじいさん、おばあさん」
クッパ大王「ピーチ姫、ピーチ姫ちゃん」
ピーチ姫「?」
クッパ大王「早く機嫌を直して、ぼくちゃんのお嫁ちゃんになって。お願い。いっひっひ」
ピーチ姫「おじいさん、おばあさん、助けて」
552 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 19:01
マリオ「ふ、よしっと。それじゃあ行ってきます」
おばあさん「気をつけてな。これはマリオの好きなものが入ってるお弁当だよ。持っておゆき」
おじいさん「マリオー。なあ、マリオ、これを持って行ってくれ。
この銃は我が家に伝わる家宝の銃じゃ。持ってゆけば役に立つじゃろう」
マリオ「ありがとう、おじいさん。おばあさん。きっとピーチ姫を連れて帰ってきます」
おじいさん・おばあさん「気をつけてなあ」
マリオ「行ってきまーす」
553 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 19:10
マリオ「ほんだらったほいほい♪だんだらんらんらーん♪ほんだらったほいほい♪らんだらんだらーん♪」
(ドガッ)
マリオ「あら、どうしたんだい?」
パタメット「お腹が空いて飛べないんだ」

<ナレーター>
マリオは、おばあさんにつくってもらったお弁当をパタメットに分けてあげました。
元気になったパタメットは、お礼にクッパ大王退治に付いて行くことにしました。
554 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 19:17
ブーメランブロス「おーい、おーい、助けてくれー!」
マリオ「あらー」
ブーメランブロス「誰か早く起こしてくれー」
マリオ「さあ」
ブーメランブロス「ああ、助かった。もう少しで死ぬところだった。ずーっと仰向けになってたんだ。ありがとう」

<ナレーター>
こうして助けてもらったブーメランブロスも、鬼のクッパ大王退治に参加することになりました。
555 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 19:27
ガボン「おーい、待ってくれー。おいらも連れてってくれー。
今おじいさんのところへ行ったら鬼のクッパ大王退治に出かけたっていうんで追っかけてきたんだ。
おいらの星もクッパ大王にメッチャクチャにされちまってよう。
思い出しただけで悔しくて悔しくて、おいらもクッパ大王やっつけたいんだ。
連れてってくれるよね?ね?」

<ナレーター>
マリオは、パタメット、ブーメランブロス、そしてガボンの三人を味方に、
クッパ大王のいる鬼ヶ島へ向かいました。
556 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 19:31
クッパ大王「でへ、でへへへへへへへ。へへへへへへへへへ、へへへへへ。
これで、ピーチ姫がお嫁ちゃんになってくれさえすればこの世の春だ。あはは」
557 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 19:42
クッパ大王「でへ。ピーチ姫ちゃん、ご機嫌いかが?今日はいい返事が聞けるかな。
でへへへへへ」
ピーチ姫「ああ…」
クッパ大王「ピーチ姫ちゃん、早くこんな冷たい牢に入ってないで、
クッパちゃんのお嫁ちゃんになってちょうだい」
ロイ「大王さま」
クッパ大王「?」
ロイ「クッパ大王さま。怪しい船が島に近づいてきます」
クッパ大王「えーい、どんな船であろうと、叩き潰してしまえ!」
ロイ「ははあ」
558 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 19:55
コクッパ達「でりゃあー!」
マリオ「よーし、行くぞ!」
コクッパ達「とりゃあ!」
マリオ「そーれー!」
パタメット「たあー!」
ガボン「やーやーやーやーやー」
モートン「でい!」
ロイ「でえい!」
イギー「ほりゃあ!」
ガボン「ポイッ」
ルドウィック「ああ」
(ドカーン)
マリオ「クッパ大王出てこーい!ピーチ姫を迎えに来たー!」
クッパ大王「こしゃくな!ピーチ姫は渡さん!」
マリオ「なに!?」
クッパ大王「ええい、小僧、くたばれ!」
パタメット「それー!」
ウェンディ「ぎゃ」
ブーメランブロス「とう!」
レミー「うぎゃあ」
559 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 20:01
マリオ「…!?」
クッパ大王「えい!」
マリオ「姫ー!ピーチ姫ー!」
クッパ大王「えーい、くらえ!よ!こら!それ!えい!あら」
ブーメランブロス「とう」
マリオ「たあ」
クッパ大王「あららら、お願い、乱暴はよして。話せば、話せば分かるんだから」
560 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 20:06
<ナレーター>
激しい戦いが続きましたが、とうとうクッパ大王をやっつけることが出来ました。
鬼たちはスーパーマリオに降参して、二度と悪いことをしないと誓いました。
そして、人々からとりあげた宝物をみんな返しました。

ピーチ姫「助けてくれてありがとう」
マリオ「いやあ」
561 1人目 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018-04-30 20:09
<ナレーター>
こうしてマリオは、お供の三人とピーチ姫を連れ、
人々に返す宝物をいっぱいに積み込んで、
おじいさんとおばあさんの元へと帰っていきました。
引用元:http://maguro.2ch.sc/test/read.cgi/eva/1520818501/
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